悠の詩〈第1章〉
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4組は1階の一番奥の教室。1、2、3、4組が1階を陣取って、5、6組は2年生のクラスと一緒に2階で並ぶ。
「えーっと」
教室に入って自分の机を探す、探すまでもないんだけど。
だって俺、柳内で一番最後の出席番号。窓際の一番後ろに決まってるんだ。
ほらなー、やっぱりー。しかも俺だけひとり、女子の方が人数少ないんだった。
机の脇のフックにカバンを引っ掛けて、ドサッと腰を下ろした。
樹深は後藤で前の方の番号だから廊下際、でも俺と同じで列の最後尾の席だから、目はよく合う気がする(笑)
まあとりあえず、周辺の奴らには挨拶をかましとこう。
通路を挟んで隣は同じ小学校連中が固まってて顔見知りだから、前の席にいる知らない男子に声を掛けた。
「なあなあ。俺、柳内。○○小。お前は? どこ小?」
俺にいきなり肩を叩かれてビクッと震えたそいつは、ゆっくり俺を振り返って、おどおどした表情を見せた。
「あ、えと、丸山です。△△小出身です」
マルコメくんみたいな頭に銀フレームの丸眼鏡の丸山は、終始気を遣ったような喋り方をしてたけど、やってるゲームの話で盛り上がって、入学式で体育館へ移動するまでずっと話してた。
その最中で、
「あの、柳内くんって、後藤くんと知り合いなんですか」
と、丸山の隣の席の女子が、突然振り向いて俺に話しかけてきた。
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