悠の詩〈第1章〉

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「ねえ、清めたお金ってどうしたらいいんだろ」

「そりゃあ、お守りとしてずっと財布ん中に入れときゃいいんじゃないの」

「いやそれが、なるべく早く使ってしまった方がいいんだって。お金回りがよくなるように」

「そうなんだ! じゃあ、この後のK町通りで買い物する時に使おっかなぁ~」

「残念! 有意義に使いましょうって注意書きがありました(笑)」

「えーっそうなの!?」

 ガヤガヤと話しながらZ洗弁天を後にした俺達。

 次の目的地はK倉大仏が鎮座するK徳院。

 また20分以上歩くんだけど、途中までは来た道を戻るし下り坂だから、行きの時より大分ラク。

 でも、大仏がかなり近くなってきたって時に、また少し道に迷った。

 正門前に出るまで、裏道をグルグル回り…何度も通りすがりの人達に道を尋ねて、やっと辿り着けた。

 門を抜けると遠くに大仏様が見えて、

「おわぁ~! すげえ~!」

 思わず興奮して駆け出してしまう、俺だけじゃねえぞ、みんな。

 大仏様の真下まで来て改めて見上げると、そのでかさに圧倒されて息を飲んだ。

 曇り空なのが惜しい。青空だったらさぞかし大仏様が映えただろうな。

 唯一カメラを持ってきていた丸山が、緊張しながら他の観光客に撮影を頼んで、大仏様をバックに1枚俺達を撮って貰った。

 逆にその観光客、カップルだったんだけど、丸山に撮ってと頼んで、これまた丸山が緊張しながら(笑)彼らを撮影した。





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