悠の詩〈第1章〉

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 Z洗弁天、有名スポットなのに風景に溶け込み過ぎていて、

「ちょっとちょっと! ココだよココ!」

 丸山以外全員、ふっつーに素通りした(笑)

 洞窟みたいな入口をくぐると沢山の鳥居のトンネルが俺達を迎えて、更に突き進むと境内に出た。

 お金を洗う場所はどこかな、キョロキョロと見渡すと、社務所のすぐそばに切り立った崖があって、その下部にぽっかりと空間があった。

 そこに人が出たり入ったり。どうやらあそこみたい。

「待って柳内くん! 折角だから、ちゃんとお参りしてから洗わない?」

 崖下に向かおうとする俺を丸山が呼び止めた。

「ちゃんとお参り、って?」

 樹深をはじめ皆が首を傾げる。

「そこの社務所でろうそくとお線香を買って奥宮、お金洗う所ね、そこにお供えをするんだよ。
 その前に、方参りにならないように境内社を全部お参りした方がいいと思う」

 熱心に語る丸山を横目に、昔来た事があるって言ってた樹深に「そんな面倒くせーのやったのか?」と小声で聞くと、

「どうだったかなぁ? 覚えてないけど…多分やってない(笑)」

 と樹深は答えた。





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