悠の詩〈第1章〉
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「さあ、ひとつまとまった班が出たぞ。他の班も頑張って、協力し合って進めるように!
分からない所があったら何でも聞きに来いよなぁ」
コタ先生が発破を掛けた所で俺達がぞろぞろと席に戻る途中で、冴えない顔の由野とすれ違った。
「早いねぇ、先生一発OKだったんだ?
うちの班、男子達がやる気ゼロで参るよ。こんな数で許可が下りるワケないのにさぁ、とりあえず行ってこいって(呆)」
余白の多い用紙をヒラヒラさせながら愚痴る由野。確かに、ゴール以外に一個しか埋めてねぇ(苦笑)
「由野、もしかして班長になっちゃった?」
「そーよぅ! ジャンケンで…こんな時に限って負けちゃうんだから」
「うちの班もジャンケンに負けた丸山が班長だぞ? でもすげー頼りになってる、K倉のエキスパートだった(笑)」
丸山以外の全員が一斉に頷いたのを見て、由野は目を丸くして、
「えーっそうなの?
ちょっと丸山くん、友達のよしみで情報を提供してよ、っていうか、うちの班の男どもに説教してっ」
丸山の肘を持ち上げて引っ張っていった。
「あーらら」「丸山くんいってらっしゃーい」由野に捕まっちゃった丸山班長を置いて、薄情な俺達(笑)は席に向かった。
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