悠の詩〈第1章〉

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 班はさっき、くじ引きで組まれた。男女各3名の全6班。

 はじめから仲良い同士で固まるより、まだよく知らない同士がこういうイベント事で行動した方がより仲良くなれるんだ、とコタ先生が熱弁してた。

 だけど、俺の班。

 男子、俺、樹深、丸山。

 女子、小学校の時同じクラスだった小林と浜野、そして柏木。

「もうー、そこ、何で固まっちゃうのよっ」

 案の定ぶーたれたのは由野、その愚痴は、あっという間に教室の喧騒に紛れた。

 先生から配られたガイドブックをグループの真ん中に置いて、各々相談を始めたからだ。

「そうだ忘れるとこだった、班長と副班長を決めておいてくれ。
 コースの確認の時に一緒に教えてくれなー」

 こんなにガヤガヤしてるのに、コタ先生の声はよく通った。

 俺達の班は、コース決めの前にさっさと決めた。ジャンケンに一番負けたら班長、一番勝ったら副班長。

「えーっ、僕…!?」

「…」

 班長に決まった、テンパって真っ赤な顔をする丸山。自分が出したチョキの手を無表情で見つめる、副班長の柏木。

「ちょっと~丸山くん、大丈夫?」

「柳内か後藤くんに代わってもいいんだよ?」

 リーダーってキャラじゃない丸山を見兼ねて、小林と浜野が心配そうに声を掛けたけど、

「うん、いや、大丈夫。ちゃんと皆をまとめます。
 じゃあ早速、ガイドブック見ながら行きたい所を皆でどんどん挙げていこう。
 そこから距離や時間的に無理な所は削っていって…の方が、コース作り易いんじゃないかな」

 腹をくくった丸山はテキパキと指示を出した。意外に適役だったんじゃないか。

 柏木も副班長らしく、皆が見やすいように地図を広げて、先生達が用意したチェックポイントに丸を付けていった。





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