悠の詩〈第1章〉

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 コタ先生と千晴先生の言い合いを、多分俺はおかしな顔で見てたのだろう、二人ははっと言葉を止めた。

「あー…ええいくそ。もう隠しようがないな」

 コタ先生は頭のてっぺんをガリガリと掻くと、

「誰にも言わないでくれよ。
 俺達、幼馴染みなんだ。きょうだいみたいなもんさ…付き合ってるとか勘弁してくれよ、なあ?」

 頷く千晴先生と苦笑いをしながら、そう言った。

 なんだ、付き合ってるんじゃないんだ。

「へ、え。
 え、でもなんでヒミツ? 幼馴染みでもマズイ?」

「そりゃまあ…ひいきしてるだの言われたくないし、お前みたいな思い違いをされても困るし。
 誰にも、先生方も、校長先生にさえ言ってないんだ。
 あーあ…人前ではくだけないように気を付けてたのになぁ」

 悔しそうにうなだれるコタ先生を尻目に、千晴先生はクスクスと笑う。

「まあ、言ってしまった後だからしょうがないよ。これからは気を付けましょ。
 柳内くん、何卒ご内密にね(笑)」

 いたずらっ子みたいにくしゃっと顔を崩しながらシーッとする千晴先生に、ドキッとした。

 お前楽天過ぎ、とコタ先生はブツクサ言いながら、各家庭で持ち帰ったお茶請けの数々をデスクに広げた。

「休憩入れる所だったんだろ? 俺食べきれないから、好きに取ってってくれ」





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