悠の詩〈第1章〉
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「柳内お待たせ…なんだ、ち、赤木先生居たのか。とっくに帰ったかと思った」
「こ…土浦先生。
ずっと居ますよ、今日は私が戸締まり当番だもの。さっきはちょっとお湯沸かしてました。
それより、今度こそ訪問終わったんですか?」
「いや、あともう一件だけ…これから柳内と一緒に行く所。
ほら、うちのクラスは次の家まで案内させるルールだから」
「あぁそれで。
柳内くん、次は誰のお家なの?」
千晴先生にそう話を振られるまでの間、俺はなんだかむず痒い違和感を二人から感じていた。
先輩教師と新任教師、なのに、合間合間にくだけた空気…
ひとつの疑問がそのまま口から出た。
「あの。えーと。
コタ先生とちはっちゃんって。
…付き合ってるの?」
「ちはっちゃん!?」
「コタ先生!?」
目を丸くした二人がハモったのを聞いて、あっ呼び直しすんの忘れたと慌てて口を塞いだけど、遅かった。
「コウちゃん…コタ先生なんて呼ばれてるの? やだもう、かわいい~!」
「ちはるお前…ちはっちゃんって、教師としての威厳が無さ過ぎだろ!」
「普段は千晴先生だもん…ねぇ柳内くん」
「千晴先生ってのも…あぁもう~…フルネームで呼ばせろよ、赤城先生はそうしてるだろ…
こら柳内! そもそもお前がヘンなので呼ぶから…」
なんかとばっちり受けたけど、それよりも気になる、コウちゃんちはる呼びの、コタ先生と千晴先生の関係。
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