悠の詩〈第3章〉

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「大丈夫だよ春海くん後藤くん、お詣りの時にちゃんと三人で言ってあげるから。ねっ、悠サン丸山くん」

 同意を求める由野に「そうそう、僕らに任せといて」丸山は少し赤くなりながら頷き、柏木も首を縦に振った。

「そう? 助かるよ。それじゃあ…先に天体観測しちゃおうか?
 あ、そうだ。みんなが良ければさ、それぞれ屋台で夜食買ってさ、展望台で食べながら観測しない?」

 樹深の提案に全員が賛同し、「何買おうかな、何屋がある?」「蕎麦ってあるかな、年越し蕎麦食べたい」「食べ物だけ? 射的とかもやりてぇな」口々に己の希望を言いながら顔を輝かせた。

 こうなると話が終わらない俺達、最終的に丸山が(よっ班長!)こうまとめてくれた。

「人が多いから本当は離れない方がいいんだろうけど、ここはふた手に分かれよう。
 柏木さんは由野さんと…女の子ふたりだけじゃ危ないから、僕らの内誰かひとり付こう」

 柏木が男子みたいだから大丈夫なんでないの、ポロッと出そうになったのを察知したのか柏木が冷たい視線を寄越してくる。

 んんっ、とわざとらしい咳払いをしながら俺は言った。

「じゃあ丸山が付いてやってくれよ、柏木の次に背ぇ高いしさ。ふたりも、丸山なら異論無いだろ?」

 えっ僕?? 突然の指名に丸山は声が裏返って、「もちろん」「丸山くんよろしくね」女子ふたりに挟まれて更に身体が縮こまった。

「樹深時計してきてる? 俺忘れちゃってさ」

「うんしてるよ、今22:43。
 どうする? とりあえず遅くとも23:15くらいまでに、買い物済んだら仁王様の門の横に集合って事でいい?」

「いいんじゃね? じゃあまた後でな。なるべく早く行くわ」

 「わかった、後でね」「そっちも人混みに気を付けて行きなよ」ドギマギな丸山以外は順応して、各組行きたい方向へ別れた。

 屋台物色をしながらしばらく歩いていると、樹深がコソッと耳打ちした。

「春海ちゃん…もしかしてわざとあの組み合わせにした?」

 あー? 何の事を言っているのか、一瞬分からず一瞬にして理解した。

「いやー? あんまり深く考えてなかったけど。まあ、思い出づくりにはいいんじゃねぇの。
 …あれ、不自然だったか?」

「いいえー。むしろ自然過ぎて、なんか疑ってごめん(笑)」

 クツクツ笑う樹深に再びタックルした。

 いいじゃんか、友達の恋路を少しくらい応援したってさ。





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