悠の詩〈第3章〉

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「春海ぃ、たっくんから電話よー!」

 冬休みに入り、聖夜に浮かれた時間もあっという間に過ぎて、新年を迎える為のバッタバタな日々(主に大掃除)に追われていた最中さなかの、とある一本の電話。

 あいつも俺とおんなじような状況の筈だろと思いながら、かあちゃんから受話機を受け取った。

「なんだよ樹深、ヒマかよお前は」

 終わりの見えない片付けに若干苛々しながら、第一声を電話の向こうの樹深に投げる俺。

 あらまご機嫌斜めですね、と笑いながら言う樹深、相変わらず上手いことかわしやがる。

「そんなヒマでもないんだけど。荷物持ちに連れて行かれたりとかさ、まあしょうがないよね貴重な男手ですし」

 そりゃなぁ、俺だってそうよと相槌を打ちつつ、結局何用だよと疑問を持った所で、樹深は本題に入った。

「ところでさ春海ちゃん、大晦日って何か予定ある?
 もしおヒマだったらさ、ちょっと面白いコト考えてて…よかったら乗ってみない?」

 またコイツは…唐突なんだよないっつも。そんでもって興味の惹き方がめちゃくちゃウマい、単純な自分に苦笑い。

「おほん、ではキミの提案とやらを聞こうかね」

 大袈裟におちゃらけると、樹深の大爆笑をBGMに「こらったっくんで遊ばないの!」とかあちゃんの怒号が飛んで、それが更に樹深を沼らせた。

「あーおもしろ…そうそうご提案ね…えっとね…」

 ひとしきり笑った後、若干息が整ってなさそうだったが、構わずに樹深は話し始めた。





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