悠の詩〈第3章〉
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「ええと、こう?」
ぎこちなくシャッフルする俺を、くすくす笑いながら見守る樹深と由野と柏木。
対極に「余計な事考えないで、相談事だけ念じて」目を伏せながら(というか眉間に皺を寄せながら)言う野上さんとやら。
一向に晴れない彼女の暗い雰囲気に萎縮しながらカードを混ぜ
野上さんとやらは何にも言わねえし、ちょっと困っていると「適当な所で終わりでいいんだよ」と樹深が助け舟を出してくれた。
「適当は困るんだけど」小さな舌打ちを挟みながらカードを自分側へ掻き集める野上さんとやら。
樹深と顔を合わせると、樹深はちょっぴり肩を竦めた。同時におどける余力は俺には無かった、おっかねえったらないや。
そうしている間に、野上さんとやらは手に持ったカードを上から一枚ずつめくって並べていく。
「これは【ケルト十字スプレッド】と言って、ひとつのテーマについて詳しく占う方法です。
全部で10枚、1枚ずつ説明していくから聞いてて下さい」
「後藤くんの時と違うやり方だね」俺の後ろで三人がヒソヒソと話すのを、「ごめん静かにしてて、集中出来ないから」とまたチクリと刺す野上さんとやら。
しかしこんないちいち噛み付かれて、こいつらよくキレないな、受け流しが上手過ぎやしないか。
俺は、多分今すんごい顔に出てると思う。出てると思うのだが、野上さんとやらは本とカードに視線を行ったり来たりして、俺の
「1枚目、現在の状況。ええと…死神の逆位置で…」
「え、正しい向きなんじゃねぇの?」
俺からは逆さではないのでそう口を挟むと、
「わ、た、し、か、ら、み、れ、ば、で、す」
…