悠の詩〈第1章〉
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「おはよーっす」
教室に入って、先に来ていた丸山と由野に挨拶をする。
「おはよ柳内くん。
ねえねえ、柳内くんはもう入る部活決めてるの?」
今日の授業の教科書を机にしまう俺に、由野が話しかける。
「なんだよ、お前らもその話? 俺は野球部!」
「そうなんだ。他に気になってる所とかないの?」
「お、そー来るか? 考えた事なかったな。
ここの野球部、少年野球の時にチームメイトだった先輩達がけっこう居てさ。
また一緒にやれるの、すげー楽しみなんだ」
ニシシと笑うと、「柳内くんっぽい」と丸山も一緒に笑った。
そこへ柏木が登校。すかさず由野が「おはよ柏木さん!」と明るく声を掛ける。
柏木は由野を見ると、ちょっとだけ口角を上げた。相変わらず感情が読み取りにくいヤツ。
そして何故か、ドアの方をチラチラ見ながら席に着いて、俺達に挨拶した。
「おはよう。
ねえ…あの人達に由野さんを呼んできてって言われたんだけど」
柏木の言葉に、由野だけじゃなく俺も丸山もびっくりした。
「えっ。
…ん、わかった。行ってくる」
「ダレ? なんか、3年生みたいだけど」
ネームプレートの色が学年で違うからすぐに分かる。何で3年生が1年生の教室にわざわざ?
…