悠の詩〈第2章〉
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俺と樹深も慌てて教室へ戻ると、ゾロゾロとクラスの皆が教室から出てくるところだった。
「あっ春海くん、後藤くんも。どこに行ってたの?
次の理科、理科室だって。早く行かないと
由野が俺達を見つけて、すれ違い様に声を掛けた。
その横に柏木もいたけど、柏木はあからさまに俺達から目を逸らした。さっきの事を怒っているのは分かるけど、そんなにか(苦笑)
「おー分かった。急ぐわ」
理科の担当の蔭村先生、額が広くて普段は温厚なんだけど、こちらがちょっとでも悪いと畳み掛けるように文句を言う。それも長々、ネチネチと。
そうなった時の想像でげんなりしながら支度をして、樹深と一緒に理科室へ向かった。
5時間目開始からすでに5分以上経っていた。俺と樹深が最後に理科室へ滑り込んだ時、他の皆はとっくに席に着いていて、蔭村先生も黒板の前で全員が揃うのを待っていた。
先生は俺と樹深を軽く睨んだが、お説教はしないで「それでは今日は実験を、教科書の45ページを開いて」とすぐに授業に切り替えた。
理科、に限らず音楽とか家庭科とか、特別教室で授業する時は出席順で席に着く。なので、俺は丸山、由野、柏木と同じ班。
さて困った、どのタイミングで柏木に伝えたらいい? コタ先生が放課後の終わりに俺達と一緒に来いって言った事。
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