悠の詩〈第2章〉
64/80ページ
俺は白々しく「ふーんよく分からんけど」と言っておく。
樹深はというと「あーそう、そっか、だからなのか」とひとり納得していた。
「ナニが? だから??」
「うん? ほら、文化系の部活も展示ブース出すじゃん、うちの天文部もさ。最近やっと準備に動き出したところで」
そういえば最近、樹深はじめ文化部の奴らがクラス展示の準備を途中で抜けるよな、部活の方も手伝わないとって。俺達運動部はそういうのないから文句は言えない、むしろ、文化部のみんな掛け持ちお疲れさん。
「柏木さん、いつも途中で帰るんだ。最後までいれなくてごめんって、申し訳なさそうにさ。
なんでかなーってずっと思ってたんだけど、そういうことね。謎が解けてスッキリ」
そう言って、何度も頷く樹深がなんか可笑しい(笑)
「柏木のはまぁ分かったけど、高浪は? なんでここに高浪が絡んでくるの」
「あーそれなぁー」
俺の再びの質問に、コタ先生はまた分かりやすく、顎に手をやりながら苦い顔をした。
「あいつ生徒会のメンバーだろ? 俺も一応生徒会顧問だし。文化祭の次の日にやる、生徒会主催の演目の事で色々相談受けてるんだが…
こないだ、お前達みたいに高浪にもここでの音聴かれてなぁ、
【僕ら生徒会メンバーでバンドやる話出てるんで、先生と柏木さんも一緒にやりましょうよ!】
なんて言ってきちゃってな。
この一曲しか出来ないからって言っても、
【それなら僕らの前座って形で披露してくれませんか】
だとさ。
それも断ったつもりなんだけど…なかなか諦めてくれないんだよな。どうしたもんかなぁ~」
さっきの柏木と高浪の階段でのやりとりを思い出す。高浪、コタ先生にもあんな感じで迫ったんだろうか(苦笑)
…