悠の詩〈第2章〉
50/80ページ
ゲームをしながら、俺達は色んな事を話して…夏の間どこ行ったとか、丸山の柔道の総体はどうだったとか(ひとつだけ個人で勝って、あとは散々だったらしい)、さっきの環奈さん達の話とか(その流れで、俺が年上のヒトが好みだと樹深に暴露された。柏木の秘密は守られたまま)。
そして、2ゲームをやりきった。
勝者は…なんと、由野。
俺達のレクチャーが功を奏したのか徐々に徐々に腕を上げていって、2ゲーム目はスペアやストライクを断続的に叩き出した。ハイスコア152。
丸山は130前後、アベレージ対決ならダントツの1位だっただろうに、由野に追いつけず珍しく悔しそうな顔をした。
ボーリングに詳しそうだった柏木は、プレイではそうでもなく、2ゲームとも100に僅かに届かなかった。手ぇ抜いた? と聞いたら、
「うるさいな…そもそも(劇団で)スコア付けばかりでプレイは得意じゃない」
こちらも珍しく、ムスッとした顔を俺に向けた。
樹深も柏木と同じくらい、でもこっちはのんびりした様子で「あ~、意外にいったね~」なんて言ってた。
俺? 俺は…
「…というわけで、ビリはスコア65の柳内くん(笑)」
「~~~。ちっくしょ~~~、まじかよぉ~」
皆の憐れみの拍手の中、俺は大きくうなだれた。
1ゲーム目は丸山とタイでハイスコアだったのに、2ゲーム目になってから病み上がりの右肘を気にしてサウスポーに切り替えた辺りから、ガクガクっと調子が狂ったんだ。ガーターあんなに出したの、人生初だぜ。
…