悠の詩〈第2章〉
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チーム戦も楽しそうだなぁ(3-2だとヘンか?)、と思っている横で、丸山がうーんと考え込んでいる。
そして…今日は特にハリキリな丸山は、こんな妙な提案をした。
「個人戦にしようよ。
それでさ。えーっと。
ちょっとした賭けをしない?
このゲームで一番のスコアを出したヒトの…
言うことを聞く、というのはどう…?」
案の定全員が目を丸くしたので、いつもより大胆な自分にパッと身をちぢこませた丸山。
「いいね、面白そう。そしたら、ゲームが終わるまでにそれぞれ考えておこうよ。
1ゲームっきりじゃつまんないな、2ゲームやってさ、その中でハイスコア出した人の勝ち。
1ゲーム目で最低のスコア出しても、2ゲーム目で1ゲーム目のハイスコアを超えられたら、その人の勝ち。
最低のスコア出しちゃった人に、お願いを叶えてもらう。
そんな感じでどう?」
そう言ったのは樹深で、ワクワクした様子で提案を上乗せする。
由野と柏木も「うんうん」「異議なし」と賛同して、無論俺も。丸山はほっとした顔をした。
そうと決まれば、俺達は早速ゲームを始めた。
5人順繰りで、しかもスコア手書き。オートシステムならゆっくりプレイしても1ゲーム20分そこそこで済むのに、ここでは倍近く時間がかかった。
予想はついてたけど樹深と由野がほぼほぼ初心者で、俺達が教えながら進めていったのも原因だし、スコア付けもやっぱりちょいちょいつまづいて、でもそこは柏木がそっとフォローしてくれたので助かった。
「柏木さんすごいね? ここちょっとややこしかったよ」
丸山が感嘆して誉めるのを、「どういたしまして」柏木は控えめに肩をすくめて応えた。やっぱりな、ああいうヤツなんだよ、アイツ。
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