悠の詩〈第2章〉

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「そういえば、なぁ、オマエ午前用事あるって由野が言ってたけど」

「あぁ…正確には午前中に起きられる自信がなかったんだよ。昨日□□市まで行ってて、日付変わってから家に着いたからさ…」

 □□市!? 県ふたつ挟んで向こうじゃんか。一体何用で、とは聞かなかった、どうせ演劇云々だろうから。

「そんな大移動の後で今日大丈夫なのかよ? 休んでたらいいのに」

 そもそもオマエ、こういう集まりに興味ないんじゃないの、とは口には出さなかったけど。

「またキミは、おかんか(笑) 心配はありがたいけどさ。
 大丈夫だってば。これでも楽しみにしてるんだよ、見えないだろうけど」

 言葉の裏を見透かされてギクッとなった俺を、「まーた、顔に出る」と柏木は笑った。

「まぁとにかくね、案の定寝坊しまして。焦って走ってきたというわけ…
 で、改札に誰もいないし、キミがここにいるのが見えたし。急いで来る事もなかった(笑)」

「あーやっぱりな、集合時間ざっくばらん過ぎなんだよ。何でソコ誰もつっこまなかったんだよ(笑)」

「ごもっとも。あの時は皆、そんな感じでいいって思っちゃったんだよねぇ(笑)」

「どーする? このまま、2時くらいまで誰も来なかったら?(笑)」

「まさか。でも、ありえなくはないからこわいな(笑)(笑)」

 柏木とこんなに会話が続くのも珍しく、しかも笑い合いながら、俺達こんなだっだっけ。

 いつもなら俺の言う事なす事にひとことでバッサリぶったぎる、それがコイツじゃなかったか?





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