悠の詩〈第2章〉

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 そうこうする内にふと腕時計を見ると、もう12時を回っていた。

 お昼を食べてから集合、なんてざっくばらんに由野は言ったけど、皆が思う昼飯の時間って一緒なんだろうな?

 とりあえず俺は13時までに改札に行けばいいかと思っていたので、道路を挟んで駅の真向かいのファストフード店に入った。

 朝寝坊で朝ごはんを食べてからそんなに経ってないのに、俺のお腹はもうぐうぐう鳴っていた。ボリュームのあるリブサンドのセットを注文して、道路のよく見える窓際の席に座る。

 ここなら誰か改札に来たら分かる。たとえ13時前に皆が集まってきてもすぐに駆けつけられる。

 急ぎ過ぎずゆっくり過ぎずリブサンドを頬張っている途中で、とうちゃんに教えて貰ったスコアの付け方をおさらいしとこうと思い立った。

 リュックを引き寄せてメモ帳とシャーペンを出した。とうちゃんが10個くらいスコア表を書いてくれていて、自分で計算してみなと渡されたものだった。

 まだ全てを埋めていない、ポテト1本を親指と中指でグリグリ回しながら、ここはどうするんだったっけ、ちょっとつまづいて苦悩する。





「あぁー…ちょっと難しいね、そこは」





 そんな声と共に俺の視界にニュッと指先が入ってきたので、俺はギョッとした。

 そこで初めて俺の左側に気配があるのを知って、そちらを見上げると、キャップをうちわ代わりに扇いでいる柏木が立っていて、スコア表に目線を落としていた。





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