悠の詩〈第1章〉

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 翌朝、ネームプレートを付けたままでの登校。

 この先卒業するまで持ち帰れないんだなと思うと、妙にいとおしい。

 はりきってるわけでもないけど、なんか早く学校に着いちゃって、教室の戸を開けるとまだ誰も来てなかった。

「…あれ?」

 ぼっち席のはずの俺の机の隣に、新しく机が並べられている。

 …どういうこと??

 誰かのイタズラ? それとも、ぼっちの俺を誰かが憐れんだ?(笑)

「柳内くん、おはよう」

「あれっ、どうしたのその机」

 机の謎をあれこれ考えている間に、次々とクラスメイト達が登校してきて、丸山も由野も自分の席の後ろに突然現れた机に驚いた。

「さあー…なんだろな?」

 樹深も入ってくるなり【ナニその机?】と口パクとジェスチャーで言ってくるから、外人がするみたいに大袈裟に肩を竦めてみせた。

 樹深はふーんという表情をしながらも、こっちに寄ってくることはなかった。

「今日は何するんだっけ?」

「えーと、着任式と離任式だって。今日もお昼前には帰れるよ」

 なんて話してる間にホームルームの時間になって、土浦先生が現れると、ガタガタッと皆が一斉に自分の席に戻った。

 「起立、気をつけ、礼!」と先生が言って、「おはようございまーす!」と皆が応えた所で、

「よしよし、今日も全員元気に来てくれたなぁ。
 じゃー出欠を取る前に…
 突然ですがこのクラスになんと、新しい仲間がひとり増えます!」

 なんて先生が言うから、えっ?? と皆が目を丸くして、教室の中がざわついた。

 入学式の翌日に転校生?? 困惑と好奇が入り雑じった変な空気の中、この隣の机はそういう事かと俺はひとり納得した。

 「さあ入って」と先生が頭だけ廊下に突き出して呼ぶと、前の引き戸が全部開いて、背の高い、ショートカットの女子が入ってきた。





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