FALL

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「おっと。アタシらは帰るよ。
 アタシはあんたら学生と違って明日も仕事、この子は明日自分ちに帰るんだから」

 背後から芽衣子ちゃんの肩を抱いて、靖子が言った。

 あれ、明日仕事? メールで花金とか言ってなかったっけ? と思ったら、今日の集まりに出る為に、残りの仕事を全部明日に回したとか。

 まじか。よくやりますな、靖子サン。

「えーっ、そーなのー!? 今夜限りなのかよぉ、芽衣子ちゃん!」

 男どもが口々に連呼する。俺だって残念だよ。

 でも、来たばかりでもう明日帰っちゃうなんて、芽衣子ちゃんも大変だな。

「相田ァ、お前は来るよな?」

「え? ああ、俺は行くけど…」

 俺の酒飲み好きを分かっているはずの坂本に、改めて確認されると違和感が残る。

 後々聞いたら、この集まりで俺の事を気に入った子がかなりいたから、あそこで俺に帰られたらまずかった、ということだった。

 そんなやりとりをしている内に、

「じゃ、あとは学生同士で仲良くやんな」

 靖子が芽衣子ちゃんを連れだって、この場を去ろうとしていた。

「みなさん、どうもごちそうさまでした」

 芽衣子ちゃんはメンバー達にペコリと頭を下げて、靖子の後を追った。



 ああ、帰っちゃう。



「あっ、相田? どこ行くんだよ!?」

 坂本が短く叫ぶのを後ろに聞きながら、俺は芽衣子ちゃんと靖子を追いかけた。





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