waiting
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午後8時17分。
「ウン…ウン……よしっ。
最終確認完了。修正作業全て完了! よく頑張りました」
「~~~っ、しゃあぁー!
相田さん、本当にご迷惑をお掛けしました、ありがとうございました、ううっ…」
山下が本気で泣きそうだったので、俺は慌てて遮った。
「いいからいいから、末次さんに連絡しなくちゃ…
…あっもしもし、末次さんお疲れ様です。修正作業、無事に完了しました。
はい…はい…了解です。お疲れ様でした、失礼します…
他の皆は直帰だとさ、どおりで誰も戻って来ないわけだ」
末次さんとの電話を切って、帰り支度をしながらそう言ったところで、ガチャリと扉が開いた。
「お疲れ様でーす、末次さん、山下クン…ってあれ、相田さんもいらしたんですか」
入ってきたのは、さっき山下が言ってた長田さん。事務の子なんだけど、山下と同期でそれで仲がいいらしい。
「長田さぁん、僕終われたよ~」
「あっ本当? ならちょうどよかった、甘いの買ってきたからひと息つこう。お茶も入れるね。
末次さんは…外出されたんですか。相田さん、よかったらご一緒にいかがですか」
長田さんは持っていた箱をデスクに置いて、取っ手の部分から開いた。中にはシュークリームが5つ。
「じゃあひとつだけ…長田さんありがとう。お茶はいいや、俺、急いで出ないと。
山下、戸締まり頼んでいいか? 末次さんがしっかりやっといてくれって」
「わかりました!」
シュークリームを二、三口でたいらげて、「じゃ、お疲れ様!」扉の方へ早足で向かった。
と、その時、天井の蛍光灯がふっと消えた。
なんだ? とも思わなかった、とにかく早く芽衣子の所へ、とドアノブをまわ、まわ…
ガチャガチャガチャ。
…!!??
ーーーーーーーーーー
(もうすぐ午後8時半…
雪、綺麗だな…)
「……でしょう?」
「…えっ? あ、はい? 私…?」
「あ…すみません、急に話しかけて。
ずっとそこで立ってるから。
寒いでしょう。
待ち合わせなんだろうけど…
どこかお店に入ったらいいのに、と思って」
…