waiting

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 室に戻ると、今回のトラブルの元である新人の山下が憔悴しきった顔でパソコンを打ち込んでいた。

「あっ相田さん、お疲れ様です! あの、末次室長が」

 俺に気付くなりすがるような視線を送ってきたので、

「分かってる分かってる。下でちょうど会って話聞いたから。
 俺が最後まで付き合うから、早いとこ済ませよう。迅速に、でも丁寧にな。どこまで進んだ?」

 俺は山下の隣のデスクに座って、社用のノートパソコンを広げた。

 ほっとした山下は、ぱちんと両手で頬を叩いて気合いを入れ直して、

「えっと、ここまで室長と一緒に…で、ここからここまでひとりで…」

 と俺に伝えながらカタカタと続きを打ち込んだ。

 山下の修正に間違いがないかひとつひとつ確認してから次の指示をする、その繰り返し。

「よし…よし…ここまでは大丈夫。ほら、ゴールが見え始めた。
 明日はカバーしてくれた皆に頭下げないとな」

「はい…僕のせいで本当にご迷惑を…
 はあ…
 相田さん、僕、今日長田さんと雪まつりデートの予定だったんです…」

 溜め息をこぼしながら言う山下。

 そんな愚痴っぽくもなかったけど、今の俺には思いの外突き刺さって、ほんの少しだけ悪態をついてしまった。

「そんなの…
 俺だってだよ、バカヤロー」

 え? と目を丸くする山下を無視して作業に没頭する俺。

 待ち合わせの時間を回ってしまった…

 芽衣子は、俺の職場が仕事以外の電話等禁止なのは知っているけど…きっと心配してる。

 ごめん、芽衣子、ごめん。早く逢いたい。

 何度も唱えた…


ーーーーーーーーーー


(午後7時36分…ちょっと過ぎちゃった…

 人、すごい…
 みんな雪まつり行くのかな…

 LINE入れとこう、着きました、と…
 既読は…付かない…
 まだ会社を出れてないのかも…

 ……早く逢いたいな……)





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