waiting
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午後6時。
…よしっ、指示された社を全て回れた!
会社に戻って上司への報告と、いつもの日報を書いて提出すれば退社出来る。
戻る前に芽衣子にLINE…いや、電話しよう。芽衣子の声が聞きたい。
プルル…プルル…プルル…
やけに長い…何かあった?
と思ったところでコール音がプツッと止まったので、俺は向こうの受け応えを待たずに話し出した。
「あっもしもし? 芽衣子? 遅くなってごめん」
『…あっ、うん、掛かってくるのずっと待ってたよ~。あ…じゃなくてカズユキ~』
聞こえてきたのは怪しいくらいにたどたどしい台詞とハスキーボイス、俺は吹いた。
「おいこら、ちっとも似てないぞ靖子、ふざけんな。
芽衣子はどうした芽衣子は」
冷ややかに言うと、靖子はうぷぷと笑いをこらえながら答えた。
『ばれたかー♪
悪いね、メイにちょっと買い物頼んじゃったんだわ。もうすぐ帰ると思うけど。
なに、仕事片付いたの? こっちまで迎えに来るの?』
「いや、一回会社に戻って…って、何で靖子に言わなきゃならないの。
お前、芽衣子帰ってきたらちゃんとスマホ返せよ? じゃあな!」
『あっちょっ…』
靖子の返事を聞かずにブツリと切った。
そしてすぐにLINEを立ち上げ、メッセージを打った。
【これから会社に戻って
報告を済ませたら終わりです。
午後7時半には会場に行けると思う。
時計台が一番分かりやすいかな?
そこで待ち合わせでいい?
声、聞きたかった】
ーーーーーーーーーー
「ただいまぁ。
ヤスコ、しょうゆ買ってきたよ」
「悪いねーメイ。
危うく肉じゃがが作れないとこだったわ。
あ、さっきアンタのスマホ鳴ってたから
出といたよ」
「え、なにが」
「だから、電話。相ちゃんから」
「え! 何て言ってた?
ていうか、ヤスコ勝手に出ないでよ~」
「まあまあいいじゃん。
いやー、アタシが出たから
ふざけんなって切られた(笑)」
「えーっ、そんなあ…
……あっ。
一幸のLINEが来た。
……
……」
「…メイ、ニタニタしてる(笑)
相ちゃん、何だって?」
「うん、待ち合わせをしようって。
ヤスコ、ここから時計台までって、
何分で行ける?」
…