waiting
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「えっ、もしかして、マナちゃん?
うわあ、すごい久しぶり! こんな所で会うなんてね。元気だった?」
「ふふ、本当にね。うん、元気にしてたよ。
相田くんは? …お仕事、頑張ってるみたいだね」
メモを睨む姿を見て、マナちゃんは察してくれたみたい。
マナちゃんは…サークル活動の一環で別の大学のグループと仲よくなって、その際に知り合った女の子。
友人の坂本と俺と、マナちゃんとその友人のスイちゃんとで、遊びに出掛けたこともあったっけ。
「懐かしいね。あの頃の皆と、まだ連絡取ってたりしてる?」
「うん、就職した後も時々坂本と…」
「私もたまにスイと…」
歩行者信号が赤の間、俺達はたわいもない話をして、やがて車道の信号が青から黄色に移る頃になって、
「ちょっと、マナミ?」
マナちゃんの隣にいた、俺とマナちゃんの間くらいの身長の男が、マナちゃんの肘を持ち上げて複雑そうな顔をした。
「あっユウちゃん、ごめんね話し込んでしまって。こちら大学時代の友達で…」
「すみません! 相田といいます。もしかして、彼氏さん?」
マナちゃんに振ると、マナちゃんは頬を赤くして、それを見た彼氏さんは満足そうに微笑んで「そうです」と言った。
「デートのおじゃましちゃって、ますます申し訳ない…
じゃ、俺まだ仕事の最中なのでこれで。マナちゃんさよなら、いつかまた!」
「うん、さよなら相田くん。いつかまたね」
そうやりとりしている間に歩行者信号が青になり、それと同時に俺は横断歩道を足早に渡った。
あの二人はきっと今から雪まつりに行くんだろう。
彼らがお揃いのマフラーをして手を繋いで向こうへ歩いていく、なんだか初々しく見えて、昔の俺と芽衣子みたい。
俺はまた芽衣子にLINEを送り、次の社に向かった。
さあ、あともうひと踏ん張りだ。
ーーーーーーーーーー
(あっ…LINE来てる)
「どうしたメイ?」
「あ、うん。一幸から。
あと少しで片付きそう、
思ったより早く逢えるかも、だって。
よかった…落ち着きそうで」
「ふーん。
でも、まだ全部終わったわけじゃないんでしょ。
夕飯どうする? あんた達の分も用意出来るけど」
「いや、元々私達は外で食べるつもりだったから。
次に連絡来たら、私出掛けるね」
「はいよ。
まあ、それまではここでゆっくりしてな~」
…