waiting

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 午後3時。

「あああ~~~、くっそ」

 なんてこった、よりによってこの日かよ。

 この日は絶対に定時に上がる手筈だったのに。

 俺が教育を担当している新人がミスを犯し、予想を超えて波紋を呼んで…

 その新人は上司の手ほどきを受けながらその場で大元の修正作業を、俺は被害を受けた顧客の会社全てに修正作業と頭を下げる巡回を命ぜられた。

 チームでのカバーなので俺だけではないのだけど、他のメンバーより巡回する社数が多い。仕方ない、ミスを見過ごしてしまった教育係の俺に責任がある。

 全て終わる頃には、定時どころか晩飯時に差し掛かる時間帯になってしまう…

「──はい、まことに申し訳ございませんでした、今後二度と無いよう、より一層精進致しますので、何卒宜しくお願い致します」

 これでもかというくらいに、深く深く頭を下げて、顧客の一社を後にする。

 次の社は…とメモをめくる前に、俺は背広の胸ポケットからスマホを取り出して、LINEを立ち上げた。

 送り先は、今日遠路はるばるこちらに来てくれる、彼女の芽衣子。



【芽衣子、飛行機は無事着いた?

 ごめん、仕事がトラブって後処理で
 すごく時間がかかりそう。
 早くても19時を過ぎるかも…

 落ち着いたらすぐに連絡するから、
 靖子の家で待たせて貰って。

 早く逢いたい】



 送信、でも既読は付かなかった。

 ちょうど着陸予定時刻だけど、まだ空の上かもしれない。

 はあっ、と白い息を短く吐いて、俺は次の社へと向かった。





 今日は、雪のちらつく2月のとある寒い平日。

 この街で雪まつりが行なわれる日。

 この日に芽衣子と出歩く、もう何ヶ月も前から、いや付き合いが始まった時からずっと、この時を待ち焦がれていたんだ。





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