FALL

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 それから、1年が過ぎた。



 芽衣子ちゃんとは、電話やメールを毎日していたけれど、ずっと逢えずにいた。

 大学4年生になり、本格的に就職活動を始めて、何社も面接を受けて、年明け前にようやく内定を貰えた。

 そのすぐ後、卒論製作に取りかかり、全てが落ち着いたのは、次の雪まつりがとっくに終わった頃だった。



 あとは卒業式を待つだけとなった、俺の町ではまだまだ冬真っ盛りの3月はじめ。

 飛行機で、約2時間。

「…おおお~…雪が、ない!!」

 俺は、芽衣子ちゃんの住む町に、降り立った。

 二泊三日の旅行。

 肩掛けの旅行バッグとお土産の紙袋を持って、芽衣子ちゃんが働くお惣菜屋さんへと向かった。

 芽衣子ちゃんは、高校卒業後、専門学校に通いながらそのお惣菜屋さんでバイトを続けているということだった。

 従業員の人達とは折り合いが良く、俺が来る事を伝えると、是非寄っていって、と言われたそうだ。

 芽衣子ちゃんから聞いたお店の住所を頼りに、地図アプリで探し歩く。

 それらしい店を見つけた時、店頭で、ワゴン内にお惣菜のパックを並べる…芽衣子ちゃんがいた。

 私服の上にブラウンの店名入りエプロン、頭に同色の三角巾を両耳の前側でヘアピンで留めていて、左側に後ろ髪をシュシュで束ねて、肩から前へ流していた。

 …髪、伸びたんだなぁ…

 しばらくぼんやり見ていると、芽衣子ちゃんがこちらに気付いて、パッと笑顔になって、駆け寄ってきた。

「…いらっしゃい…!」

「…うん…来ちゃった…(笑)」

 お互い、照れ笑い。

 この1年、写メもよく送り合っていたけれど、やっぱり…実際に見た方が…キレイ。

「相田さん、来て? みんなに紹介する」

 そう言って芽衣子ちゃんは、俺の手を引いてお店の中に導いた。

 従業員の皆さんは、手厚く歓迎してくれた。

 店長をはじめ、パートのおばさま方10数人と、製造で若い男が2、3人。

 皆さんで食べて下さい、と、手土産の地元の銘菓の箱を渡すと、おぉー! と歓声が上がった(笑)

 ふと見ると、若い男の一人が、芽衣子ちゃんに馴れ馴れしく話しかけていた。

 芽衣子ちゃんもなんだか楽しそう。

 思わずじとっと見つめると、二人がそれに気付いて、

「おまえのカレシに捕って食われそうだわ(笑)」

 と、男はふざけ半分に肩を竦めて、芽衣子ちゃんから離れた。

 なんか、フンイキが坂本にそっくり。ああいうヤツは、危ない。うん。

「メイちゃん、昼休憩、行っておいで。カレシと一緒にいてあげなさい」

 店長がそう言ってくれたので、じゃあ、少し芽衣子さんをお借りしますと一礼して、今度は俺が芽衣子ちゃんの手を引いてお店を出た。

 背中で、キャーッというおばさま方の黄色い悲鳴と、ヒューッという男たちの冷やかしを受けた。





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