FALL
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『あっ…相田さん? 聞こえますか…?
…よかったぁ…
…あっ、はい、メイコです。
…私だって、気づいてくれましたね…』
「…当たり前でしょ…
…もう…わかるよ…」
『……うん……』
「……あっ。ねえ、どうしたの、この番号?」
『あっ、はい。
あの、飛行機降りたの、お昼前で…
すぐに公衆電話で、相田さんに掛けようと思ったの。
…でも…でもね』
「…うん」
『…相田さんに貰った、雪まつりのテレカ…記念にとっておきたくって…』
「…うん…」
『…相田さんと、いっぱい、話したくて…』
「…うん…」
『…一度、家に帰って…
…まだ、ハタチになってないけど…
両親に許可貰って…保証人のサインもして貰って…
…今さっき、自分のケータイ…買ったよ…?』
「……うんっ……」
ヤバい。途中から泣きそうだ。
『…相田さん…? …メーワク…?
…電話も、メールも、いっぱいしたら…
…ダメ…?』
「…っ、ダメなわけ…ないでしょ…?」
『…えへへ…だって…ついさっきまで一緒だったのに…
…もう…あいたいんだもん…っ』
芽衣子ちゃんもだ。
芽衣子ちゃんも、同じ気持ちでいてくれてた。
胸が、詰まる。
「…俺…も、だから…
…いっぱい、して…?
…俺も、いっぱいする…から…
…あーっ…!」
『えっ? どーしたの? 相田さん?』
芽衣子ちゃんの声が耳をくすぐるから、すごく気持ちが高ぶってしまった。
「…あーっ…あのさ…
……メイコ…あいしてる……」
電話の向こうで、芽衣子ちゃんが息を飲んだ。
『……もぉ……
…ズルイ…相田さん…急に呼びすても…
……わたしだっ…て…
……アイシテル……』
こうして…俺達の遠距離恋愛が始まった
こうやって
囁き合いながら
愛を育んでゆく
…