FALL
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シアワセだ。
この短い期間で、こんなに誰かに惹かれて、振り向いて欲しくて、手に入れたいと思って、行動に移した事、今までの自分じゃ考えられなかった。
このまま、時間が止まって欲しい…
「…芽衣子ちゃん…」
「…はい…?」
後始末した後、下着だけは身につけて、芽衣子ちゃんを後ろから抱きしめる形で、掛け布団を羽織った。
芽衣子ちゃんの耳元で、囁く。
「…芽衣子ちゃんの事…
…すっごく…すっごく好きになっちゃった…」
「…はい…私もです…」
「…感じてる芽衣子ちゃん…かわいかった…」
「…もぉ…言わないで…」
「……帰したく、ないなぁ……」
「……」
「……ウソ……
…いや、ウソじゃあないけど…
…飛行機、乗らないとね…?
…○○県かぁ…遠い、な…」
「……はい……
…あの、相田さん?」
「うん?」
「相田さんの番号、教えて…?
…私、向こうに着いたら、電話かけるから…」
「…ほんと? …じゃあ…ちょっと待って…」
そう言って、俺は掛け布団から抜けて、ロングジャケットに袖を通してから、机に向かう。
大学で使っているノートの余白を破り取り、それに自分の携帯番号を書いた。
芽衣子ちゃんも布団から出て、下着の上からダッフルコートを着て、俺のそばへ来た。
「…はい。いつでも、掛けてきて…」
芽衣子ちゃんに紙を渡すと、芽衣子ちゃんはそれをコートのポケットにしまった。
「…うん…待ってて…」
「…うん…」
「……」
「……」
ふたりの視線が、絡み合う。
「「あの!」」
「「あっ、なに? お先にどうぞ!」」
あまりにピッタリに言うので、お互いにプッと吹き出してしまった。
ひとしきり笑った後、
「……お迎え…来るまで……
……キス、してたい……
……いい……?」
返事を聞く気はさらさら無いから、言ってる途中から芽衣子ちゃんを抱き寄せて、両手で頬を包んで唇が触れる寸前までに距離を詰める。
芽衣子ちゃんがゆっくりと瞳を閉じたのを合図に
柔らかく艶やかな唇をついばみ合った
♪~
靖子から、メール受信
下に車停めて待ってるよ。
なるべく、お早めに。
時間を見ると、7:27。
少しだけ。
ほんの少しだけ。
「…スキ…メイコ…スキだから…
…離れても…ダイスキ…メイコ…」
「…ンッ…私…も…
…スキ…よ…
……ダイ…スキ……ッ」
熱い息と共に溢れる気持ちを囁き合う間に
くちづけの水音が響いた
…