FALL
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「あっ! 相ちゃん今、ヤラシイ目で見てた!
メイ、逃げなさい!」
ソフトドリンクしか飲んでないはずなのに、酔っ払いみたいに絡んでくる靖子。
俺の両方の二の腕をガッシリ掴んで、顎で芽衣子ちゃんに向こうに行くように促す。
「ばっ…! 何言ってんだ、このオンナ!」
そう言ったけれど、なおも靖子は疑いの眼差しを向ける。
…確かに。
…見てましたよ。
…ほんとにただ偶然に視線を落として、
…それで気付いちゃって、
…顔から下の膨らみとか。
…スカートとニーハイの間から覗いている肌とか。
…オトコなら、見ちゃうから。
ここまで考えて、急に罪悪感に囚われた。芽衣子ちゃんを汚したような気がした。
ちらっと芽衣子ちゃんの顔を見ると、芽衣子ちゃんは俺の方は見てなくて、靖子の言葉に呆れているようで、苦笑いをしていた。
けれど、心なしか頬が赤らんでいる、かな?
「あのね、芽衣子ちゃん。俺は、そんな…」
「あ。私が入れた曲だ」
イントロが流れて、芽衣子ちゃんが弾けたように立ち上がった。
………
………
弁解、させてもらえなかった。
…