FALL

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 ──君が好き。

 降りしきる雪の中で、芽衣子ちゃんを抱きしめながら、心の中で何度も呟く。

 数日前に会ったばかりの君を、もうこんなにも好き。

 色んな表情を見せてくれる君が、好きでたまらない。

 この気持ちを、君に見せていい…?

 同時に、好意を持たれると距離を置いてしまう自分を思い出す。

 それと同じに、芽衣子ちゃんが俺の気持ちを知ったら、芽衣子ちゃんは俺から離れてしまうだろうか。

 この数日間で築いてきた俺と芽衣子ちゃんの思い出が、一転していやな物となるんだろうか。

 なるんだろうな。

 でも。

 芽衣子ちゃんのこの、抱き返す両手の意味は何…?

 大きな不安と、ちょっとだけの…期待。



 は…と芽衣子ちゃんが小さく息を吐いたのをきっかけに、髪の毛に差し入れていた手と、肩に回していた腕を緩めた。

 すると、密着していた頬が離れ、すうっとひんやりした空気が流れ込んだ。

 背中に回されていた柔らかい感触も消えて、俺と芽衣子ちゃんに隙間が出来た。



「…私…帰らないと…
 も…ヤスコ待ってるから…
 あ…の…ありがと…ございました…
 じゃ…サヨナラ…」



 俯いたままそう言って…

 芽衣子ちゃんは、走っていった…



 身体中のあちこちに芽衣子ちゃんの感触が残ったまま



 俺は



 しばらくの間



 そこから動けないでいた



 期待は砕け散り



 後悔だけが残った





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