FALL

43/87ページ

前へ 次へ


「うーん? でも芽衣子ちゃん、あの小説と、俺の食べっぷりと、なんか関係あった?(笑)」

「んっ? あはは、ないかも(笑)
 でも、おじやを食べたくなりましたよ。
 おじや、しょっぱかったでしょうね」

「え? どうして?」

「だって、おかあさん、きっといっぱい泣きながら食べたんでしょ?
 ヤスコに言ったら、相ちゃんがそこまで考えるわけないっしょって言いましたけど」

「あー、まあ、悔しいけど、靖子の言う通り(苦笑)」

「えーっ、そうなんですか?(笑)
 でも、想像は自由、ですよね?」

「まあ、はい、そうですね(笑)
 芽衣子さんの自由で宜しいと思いますよ?」

「あはは。はい、そうさせてもらいます(笑)」

 掘り下げて読んでくれたということに、嬉しさと驚きを隠せない。

 カラオケの時の芽衣子ちゃんのあの反応は、嘘ではなかったのだ。

 そう思うと急に恥ずかしくなって、話題をすり替えたくなった。

「あー、そうだ芽衣子ちゃん。
 食べたらさ、ウォータースライダーに行こうよ。
 実は来た時からずっと気になってたんだよね」

「あっ、はい! いいですよ」

 話にすっかり夢中になって、冷めてしまったスープカレーを急いで掻き込んで、俺達はカフェを後にした。





43/87ページ
いいね!