FALL
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「さあ、相田さん! 何から行きますか?」
あんなに恥ずかしがっていた雰囲気はどこへやら、若干強気に出ている芽衣子ちゃんが面白くて、自分もいつまでも意識してたらダメだと気を引き締めた。
「とりあえず、流れてみる?」
大きく八の字にうねる流れるプールを指差す。
俺達はプールの縁に掴まって、せーの! で一緒に手を離した。
「わー! きゃー! あははははっ」
「ちょっ、ちょっとっ芽衣子ちゃん待って、何でそんなに速いの!?」
同時のスタートなのに、どういうわけか芽衣子ちゃんが先に行ってしまう。
必死に手を伸ばすと、芽衣子ちゃんも気付いて手を伸ばしてきた。
がっちりと繋がれた途端、
「「!!!」」
二人の身体が水中へ沈んで、また浮き上がる。
流れに乗って、しばらく浮いていた。
手は、繋いだまま。
「あ、相田さん、あっちは何でしょうね?」
「うん? あ、あれね、CMで観たよ。大波体験が出来るやつ。行ってみる?」
「はい、やってみたいです」
「浮き輪か何か、あった方がいいかなぁ。そしたらさっきみたいな事にならないよね」
「ふふ、そうかもですね。意外に体力使います(笑)」
「ですよねえ(笑)」
そのままそこの近くまで流れて行って、上がった時にはもう、手は繋がれなかった。
…