FALL
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黒とグレーの迷彩柄で、膝上まで丈のあるトランクス型の水着を選んだ。
更衣室で着替え、出る前に一度自分の姿を鏡で見た。
あああー、腹周りがだらしなーい。
高校時代は文芸部で、体育以外の運動はしなかったから、標準よりちょっとガリガリだったと思う。
お酒を飲むようになってから、確実にいらない肉がついた。これからは腹筋をがんばろう…密かな決意。
シャワーを浴び、消毒槽に腰まで浸かる。
出た所で辺りを見回したけれど、芽衣子ちゃんはまだ出てきていないようだった。
女子更衣室の扉を見ているのも、なんだか…ヘンタイな気もしたので(苦笑)、ざっと色々種類のあるプール達に目をやった。
そういえば足湯の時に、ウォータースライダーがちらっと見えたっけ。
そこにはどうやって行けばいいんだろう、すぐそばにあったでかい案内地図を見ようとした時。
女子更衣室の扉が開いて、芽衣子ちゃんが出てきた。
肩からタオルを羽織って、前で閉じている。
「芽衣子ちゃん? こっちだよ」
呼びかけると、芽衣子ちゃんは俺に気付いて、ぽっと頬を赤らめた。
すごく…困った顔をしている。
そんな反応をされると…俺、どうしたらいい?
シャワーを浴びず、佇む芽衣子ちゃん。
「芽衣子ちゃん? どうしたの、早くおいで?」
「あ…あーっと…相田さん、あのね…」
「うん?」
「あのー…
私、こういうの着るの初めてで…いつもワンピースタイプのだったから…
でもレンタルで、そういうのが置いてなくって…
うーっ…
は、恥ずかしい…んですけど…」
最後の方はほとんど聞き取れないほど声が萎んで、芽衣子ちゃんは小っちゃくなってしまった。
…