FALL

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 そして翌日。

 芽衣子ちゃんとのプールが楽しみ過ぎて、朝は早く起きてしまった。

「相田ァ? こんな朝っぱらから、どこ行くんだー?」

 寮を出た時、窓から坂本に声を掛けられた。

 芽衣子ちゃんの事は、教えたくない。

「ちょっと買い物ぉ。少し遠出してくる」

「あっ、車は貸せないぞ? 俺、これからスイちゃんとお出かけ♪」

 スイちゃん? マナちゃん狙いだったんじゃないの? 坂本、よく分からん。

「いやぁ、意外にイイコでさぁ。話してると楽しくて」

 あ、そ。

 まあ、俺の今日の予定を根掘り葉掘り聞かれずに済みそうで助かる。

 坂本は、ふんふんふーんと鼻歌を鳴らしながら、窓の奥へ消えていった。





 芽衣子ちゃんとの待ち合わせは、昨日の帽子屋の前。

 時間は…30分も早く着いてしまった。当然、芽衣子ちゃんはまだ来ていない。

 少し商店街をぶらつこうと思い、ゆっくりと歩く。

 古着屋の店頭に飾られた、ダークブルーのロングジャケットが目に入った。

 手頃な値段。

 今着ているウィンドブレイカーは年季が入ってかなりズタボロ。

 昨日の芽衣子ちゃんの、チェック柄のロングジャケットが頭をよぎる。

「はい、いらっしゃいませ」

「すいません、これお願いします。
 あの、値札外してもらっていいですか? すぐに着たいので」

「かしこまりました。
 今お召しになっていらっしゃるのは、どうされますか?
 もしよければ、こちらでお引き取りしますよ」

「え、いいんですか? じゃあ、お願いします」

「はい。少々お待ち下さいね」

 店員さんはニコニコとして、手際よく処理していく。

 さっきまで着ていたウィンドブレイカーを受け取り、ロングジャケットを俺に手渡した。

「わぁ、よくお似合いですよ。
 これからお出掛けですか? どうぞ、楽しんでいってらっしゃい」

 ジャケットを羽織った俺を、店員さんは店頭までお見送りしてくれた。

 再び帽子屋の前に行くと、まだ芽衣子ちゃんの姿はない。

 約束の時間までまだ少しあるけれど、もうこのまま待つことにした。

 しばらくして、向かい側の信号で青になるのを待っている芽衣子ちゃんの姿を捉えた。





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