FALL

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 明後日にはもう芽衣子ちゃんはこの町にいない。

 次なんて、きっと無いだろう。芽衣子ちゃんはうんと遠い所に住んでいるのだから。

 一昨日の足湯で坂本達と行こうなんて話が出た時は、あんなに気分が乗らなかったのに。

 今は。

「えーと。あのさ。芽衣子ちゃん。
 明日って、ヒマ?
 よかったらだけど、これに行かない?
 …俺と」

「え…
 …えーっ?」

 芽衣子ちゃんが素っ頓狂な声をあげた。

 だーよーねー。これじゃ本当にナンパだわ。

 自分でも、こんなにもブレーキが効かないことにビックリしてる。

 俺とじゃヤダよね、そう言おうとした時、

「でも相田さん、私、水着持ってないよ」

「えっ? あ、俺も持ってねぇよ(苦笑)」

 返事をしながら、あれ、これは断られてない? 水着用意できれば、オッケーってこと?

 期待が膨らむ。

 招待券の細かい文字を読んでいく。

「あ。水着のレンタルあります、だって。有料だけど」

「あ、そうなんですね。よかったぁ」

「えーと? じゃあ明日、行く方向で…よろしいんでしょうか?
 ほんとに、何も予定ない?」

「あっ、はい。宜しくお願いします。
 ふふふ、相田さん、変な喋り方(笑)」

 まじですか。こんなにうまくいっていいの?

 何でだか、芽衣子ちゃんは俺にすっかり気を許している気がする。

「あ、相田さん、ヤスコに電話掛けるんで、ちょっと待っててもらえますか?」

 そう言って、芽衣子ちゃんはすぐそばにあったコンビニの公衆電話に駆け寄った。

「あれ、芽衣子ちゃん、ケータイ持ってないの?」

「あはは、そうなんです。
 親から、ケータイ持つのはハタチからって言われてて。
 あと少しで解禁なんですけどね」

 そう言って、芽衣子ちゃんは財布からカードを取り出した。

 昔懐かしの、テレホンカード。

 よく見ると、雪まつりの記念テレカだった。大分前の年の物のようだけれど。

「これ、ずっと昔にヤスコがくれたんですよ」

 俺の視線に気が付いて、芽衣子ちゃんが言った。





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