FALL

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「相田さんの塩、美味しそうですね。
 あ、もちろん味噌も美味しいです。
 連れてきてくれて、ありがとうございます」

 ラーメンがどんぶりの半分を切った辺りで、芽衣子ちゃんが言った。

 雑誌とか載ったことのない、ただの自分の行きつけの店だったけど、芽衣子ちゃんに喜んで貰えてよかった。

「そう? そんならよかったけど。
 あ、じゃあ芽衣子ちゃんに俺から」

 そう言って、芽衣子ちゃんの蓮華に麺と塩スープと葱と海苔、乗せられるだけ乗せて、

「はい、ひとくちの幸せ、相田版(笑)」

 芽衣子ちゃんの目の前に運んだ。

 芽衣子ちゃんは目をパチクリさせて、ふっと顔を綻ばせた。

「やだもう、相田さんってば! いいんですか? なんか、催促したみたいで、ごめんなさい(笑)」

 言いながら、蓮華を受け取ってパクッとした芽衣子ちゃん。

 綻んだ顔が更に崩れた。

「うん、美味しいです! じゃあ、お礼に私からも」


 俺の蓮華に、麺と味噌スープともやしとメンマ、こんもり乗せて(笑)、

「はい、ひとくちの幸せ、芽衣子版って事で(笑)
 あ、でも相田さんには新鮮味に欠けますかね」

 苦笑いをしながら、俺の目の前に掲げた。

「ううん、味噌は結構ご無沙汰よ? ありがとう、いただきます」

 蓮華を受け取って、パクッ。

 久しぶりの味噌味、芽衣子ちゃんの気遣いがスパイスとなって、一昨日のあれなんかよりずっとずっと、幸せを噛みしめられた気がした。





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