FALL
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それから俺たちは、お昼ごはんを食べる為に近くのショッピングモールへ車を走らせた。
フードコートでランチをして、ゲームセンターで少し遊んで。
夕方から居酒屋のバイトを入れていたので、お店の近くのコンビニで俺だけ下ろして貰うことになった。
「じゃーなー、相田。しっかり働けや(笑)」
「おー、ここまでサンキュ。マナちゃんもスイちゃんも今日はお疲れ様」
「相ちゃんバイバーイ♪」
トイレに行きたかったので、挨拶もそこそこに足早にコンビニに入った。
そして用を足して出てきた所で、帰ったはずのマナちゃんとばったり会った。
「あれ、マナちゃん? 帰ったんじゃ?」
「ちょっとだけ、買い物。二人にまだ待ってて貰ってる」
そう言って、会計を済ませた袋をガサリと持ち上げる。
「そっか」
「あの、相田くん」
「ん、なに?」
「今度の雪まつりの初日…空いてる…?
よかったら…一緒に行かない…?」
雪まつり。
そうだった、もうすぐ始まる。何日かに渡って催される、この町の一大イベント。
それに誘われるということ。
わかっている。
わかっているけれど。
一度好意を持たれると、距離をおきたがる…厄介な性格の自分。
「んー…バイトが入るか微妙なんだ。
もし空いていたら、みんなで行けたらいいね」
マナちゃんは、一瞬寂しげな顔をして、すぐに首を横に振った。
「ううん、気にしないで。相田くん、頑張り屋さんだね。
じゃ、また、時間ある時にみんなでね」
そう言って、マナちゃんは先にコンビニの自動ドアをくぐり抜けた。
しばらくして俺も出た時はもう、坂本の車はいなくなっていた。
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