FALL
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「…ちょっと、芽衣子ちゃん。
アイツ、いつもあんなに馴れ馴れしいの?」
カッコ悪ィ、ヤキモチを芽衣子ちゃんにぶつけてしまった。
「マサさんのこと? 製造のチーフなの。だいたいみんなにあんな感じだよ?」
「ふーん」
「え、相田さん、まさか、ヤキモチ…?」
「……悪いですかぁー?」
ちょっと大げさにむくれてみせると、芽衣子ちゃんがプッと吹き出した。
「やだもう…こんなに相田さんに一途…なのに…?
…今まで、伝わらなかった…?」
芽衣子ちゃんが恋人繋ぎで指を絡めてきた。
「そんなこと…あるわけ、ないでしょ…?」
「…ふふふっ!」
口を尖らせる俺に、芽衣子ちゃんは頬を赤らめて微笑んだ。
「あ、芽衣子ちゃん、お昼食べるんだよね? どこに行く?」
「あ、えーと、そうだ! 私、美味しいラーメン屋さん案内する」
「お、いいね(笑) あの時と、逆だね」
「うん…
あ! 先に相田さんの荷物を私の部屋に置いていこう?」
芽衣子ちゃんは、昨年の雪まつりから帰ってからすぐ位に、実家を出て一人暮らしを始めていた。
守ってあげたいような雰囲気なのに、意外とアクティブであることに最初は驚いた。それがまたギャップでかわいいんだけど。
「あ…芽衣子ちゃん、待って…ちょっと…」
「え? …わっ…」
そう言って、細い路地に芽衣子ちゃんを引っ張っていった。
…