FALL

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 俺、脱力。

「なあんだぁ…
 靖子、コノヤロ! ウソつくなんてサイテーだぞ! 恥掻いちゃったじゃないか」

 少し拳に力を込めて、靖子の肩に軽くパンチを入れた。

「いった…うっさいわねぇ。
 メイが参加しちゃって帰るの待つのが、イヤなんだってば」

 靖子がだるそうに、俺の手を振り払う。

「しっかし、まあ」

 一瞬真面目な顔をしたかと思ったら、高校時代から変わらないからかいの笑みを浮かべて、靖子は言った。

「帰るトコを追っかけてくるなんて、相ちゃんったら…
 純なのね~!」

「なっ!…」

 自分の恥ずかし過ぎる行動を改めて口にされて、あり得ない位に頬に熱を持った。

 それを見て満足げにひっひっひっと嫌な笑いを出してから、

「さあ! メイ、ほんとに帰るよ!」

 靖子は芽衣子ちゃんを再度促した。

「あ、うん」

 芽衣子ちゃんはもう一度俺の方に向き直って、

「それじゃあ、相田さん、もしまた会えたら…小説の事もっと聞かせて下さいね」

 先程みんなにしたみたいに、ペコリと頭を下げた。

「あ、うん。気を付けて…って言っても、靖子がいるから大丈夫だよね」

「メ、イ、コ! いい加減にしろよ!」

 先に歩いて行った靖子の苛立った声に物怖じせず、

「さよーならぁ」

 俺に手を振りながら、芽衣子ちゃんは靖子の元へ走っていった。





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