FALL
12/87ページ
俺、脱力。
「なあんだぁ…
靖子、コノヤロ! ウソつくなんてサイテーだぞ! 恥掻いちゃったじゃないか」
少し拳に力を込めて、靖子の肩に軽くパンチを入れた。
「いった…うっさいわねぇ。
メイが参加しちゃって帰るの待つのが、イヤなんだってば」
靖子がだるそうに、俺の手を振り払う。
「しっかし、まあ」
一瞬真面目な顔をしたかと思ったら、高校時代から変わらないからかいの笑みを浮かべて、靖子は言った。
「帰るトコを追っかけてくるなんて、相ちゃんったら…
純なのね~!」
「なっ!…」
自分の恥ずかし過ぎる行動を改めて口にされて、あり得ない位に頬に熱を持った。
それを見て満足げにひっひっひっと嫌な笑いを出してから、
「さあ! メイ、ほんとに帰るよ!」
靖子は芽衣子ちゃんを再度促した。
「あ、うん」
芽衣子ちゃんはもう一度俺の方に向き直って、
「それじゃあ、相田さん、もしまた会えたら…小説の事もっと聞かせて下さいね」
先程みんなにしたみたいに、ペコリと頭を下げた。
「あ、うん。気を付けて…って言っても、靖子がいるから大丈夫だよね」
「メ、イ、コ! いい加減にしろよ!」
先に歩いて行った靖子の苛立った声に物怖じせず、
「さよーならぁ」
俺に手を振りながら、芽衣子ちゃんは靖子の元へ走っていった。
…