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「えーと…ヤスコ…ここは…?」
てっきりヤスコの家に着くんだと思ったら全然違った、市街地でもない、ヤスコの家の最寄りでもない、とある駅の近くのビルの中にあるカラオケ屋さん。
ヤスコは私の質問をスルーして、受付のスタッフさんに話しかける。
「すみませーん、先に連れが大人数で部屋を取っているんですけど。名前はどっちで取ってるかな…坂本か…」
「あっはい、坂本様から事前にうかがっております、どうぞこちらへ。
お後2名様、ご案内でーす。
ソフトドリンク飲み放題コースで承っております、ご注文は部屋のインターホンからお願い致します。
それではごゆっくりお楽しみください」
奥の大部屋へ通された私達。
部屋にはすでに人で溢れ返っていて、歌ったり、飲んだり、喋ったりをそれぞれ楽しんでいるみたいだった。
「ねぇヤスコってば…ちゃんと説明してってば」
ガヤガヤと喧騒の激しい中、ヤスコの耳元でちょっぴり大きめに話しかける。こうでもしないと私の声なんて届かない。
何かを探しているのかキョロキョロしながらヤスコは答えた。
「んー…高校ん時の友達がさ…サークルの催しやるから来ればって…誘ってくれたからさ…
あーいたいた、主催者(笑) ちょっくら挨拶してくるから、アンタは適当に座ってな」
そう言うなりヤスコは私を置いて行ってしまった。
誰も知らない人だらけの中、私ここにいていいのかな? カチコチになりながらソファーに身を沈めたけど、幸い近くにいた女の子達が優しくて、
「飲むもの追加する人いるー? 一緒に頼んであげる」
と言ってくれたから、それに便乗してカルピスソーダをお願いした。
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