FALL
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大学の研究発表会が無事に終わり、進級まで少しゆとりが出来た頃。
「
同じサークルで、同じ寮住まいの坂本に声を掛けられた。
「別に用はないけど。何すんの?」
「とりあえずー、カラオケ。お前からも皆に声掛けてくれない? あ、女子も忘れずに!」
いつも手入れが大変だとかいう自慢のドレッドヘアを掻き上げながら、坂本は言う。
相変わらず出逢いを求めているらしい。
「りょーかい。じゃ、適当に声かけとく。後で文句とか言うなよ」
「言わない言わない! 相ちゃん、ダイスキー♪」
「おえっ…この後の授業で気分悪くしたら、お前のせいだからな」
「はははー」
しょうもない漫才をしながら坂本と別れて、教室に着くまでの間、誰に声を掛けようか考えながら歩いた。
どうせいつものメンバーしか集められないけれど。
前回の集まりで連絡先貰った子がいたから、その子のツテで女子を集めてもらおう。
あ、あと高校の同級生の
あいつ、今年の年賀状で『今度飲み会の話が出たら即連絡! 求むオトコ!』とか書いてきたし。
職場でイイ男はいないんだろうか?(苦笑)
まあ、靖子のあのサバサバした性格では、寄ってくる物好きはそういないのかも。
【靖子さんお待たせしました。ご所望の飲み会のお誘いです。
あ、飲むかどうかは分からないけど。まずはカラオケらしい】
メール、送信。
数分しない内に、靖子からのメール受信。
【遅っ! でも行くよ! 花金だからね♪ 絶対定時であがってやる(笑)】
やる気満々ですね、靖子サン(苦笑)
さて、俺は別に出逢いは求めてないけど、楽しいといいな。
ふう、と軽く息をついて、次の授業へ向かった。
…