最後の一滴
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金髪が煌めく男の人に優しく抱き上げられながら向かったのは、大浴場の様な場所だった。
パニックで目を回して気絶している、海水まみれでぺしょぺしょの私を洗い流そうとレディ(メス猫)の私をそっと桶に下ろしてくれたようだ。
「レディ、お湯加減はどうかな?鼻と耳に水が入らないように、だったよな…?」
船の装置で海水が濾過された真水は、サンジの手で温度を確かめられ、少しぬるいくらいに設定された。
そして足元お尻からそっと怖がらせないようにシャワーをかけていく。
途端、
―――ボフン!!
大きな音と煙でネコが爆発したではないか!?
「えっ、なっ、!?はあ!?!?なんだ!?!?」
煙が収まった頃、彼の目に見えたのは…
―素っ裸の女性だった―
「ぶっはぁぁあああ!!!!!」
――ゴチーン!!!
彼があまりの衝撃に鼻血を吹き出し、後方に倒れた勢いで頭まで打った事で大きな音に気付いたメンバーがお風呂場に集まってきた。
「サンジ!?!?」
「なんだ、なんだ、どうした!?」
「すげぇ音したぞ!?」
チョッパー、ウソップ、ルフィと好奇心組が続々と集まる彼らが目にしたものは、
「「「裸の女〜〜〜!!!!!!」」」
その大声に反応したのは女性陣のナミとロビンで、2人は急いでお風呂場へ向かった。
到着した頃には鼻血で血の海になって倒れているサンジと、その処置をするチョッパーと、オロオロするウソップと、ナミとロビンを見てホッとするルフィだった。
「ちょっと、何よこれ!?」
「一先ず彼女にタオルをかぶせておかないとね、着られるような服あったかしら?」
「任せて、私が見繕ってくるわ」
女性陣のサクッとした対応に見てるだけの男性陣。
「アンタたちはサンジくん連れて向こう戻ってなさい」
「は〜い!」
血まみれの彼を運びながら戻って行った。
さて、残された女性は如何様にすればいいか…
「貴女、もう気が付いた?」
『あっ、はい。良くはわかっていませんが…ここはどこでしょうか?私は何故ネコに?』
「えっ!?あんたも分かってないの!?」
『はぃ、気が付いたら溺れていたみたいで、それで、ネコでした…』
「人間になったきっかけは?」
『特にはわからないのですが、お湯が腰あたりに来た時にムズっとした感覚があって、そしたらボフンってなって、人間に戻ってました…』
「ん?戻ってた?」
『あ、はい。私は多分元は人間だと思うのですが…そもそもここがどういう世界?なのかもよく分かっていなくて、記憶喪失とかそういう類で済ませられるようなものでもなさそうな気がするんです…』
「…はぁ、これは一度要会議ね。一先ずこれに着替えなさい」
オレンジ髪が艷めく女性が見繕ったであろう、Tシャツと短パンを下着と一緒に与えてくれた。
黒髪の女性はそのまま少し頭を整理しましょうと言い、質疑応答ならできそうならと質問に答えていくことになった。
「じゃあ、その間男共には甲板に集まるよう言っておくわね。昼ご飯もそこで食べながら整理したことを話しましょう」
「ええ、彼女が落ち着いたら向かうわ」
オレンジ髪の女性はそう言って外に出て行った。
もそもそと借りた服に着替える私を見て、残った黒髪女性がゆっくり話しかけてきた。
「先ずはお名前、聞いてもいいかしら?」
『あっ、えっと…なまえ、です』
「そう、なまえね。私はロビンよ。出身は?」
『ロビンさん、…出身は…日本、ですかね?』
「ニホン…聞いたことがないわね…、どこの海なの?」
『どこの、海?えっと、太平洋とかのことですか?』
「…噛み合ってないようね」
『そんな気がします…』
沈黙が流れたが、ロビンがじゃあ、溺れていた経緯はわかる?と聞いてきたので、私はドキリとした。
そう、あの時、私の最後の記憶は海で溺死しようとしていたのだ。
「言い辛い?」
『ぃぇ、あ、の、…私、多分こことは違う世界から来たんだと思います。転生、とか?』
「どうしてそう思うの?」
『非現実的なのはわかってるんですけど、私は多分あの時に死んだはずなんです』
「死?あの時って?」
私は俯いたまま少し考えて、ゆっくりとあの日の夜の海を、最後の景色を思い出していた。
『何もかも…生きることに疲れてしまって、死のうと思って、海に入ったんです…夜の…静かで、月明かりが反射する景色と、打ち寄せる波に身を任せて、深く深く…そこで意識が途絶えて、…噎せて起きたら何故かネコで、金髪のキラキラの人が私をすくいあげたって、鹿さんが言ってました…』
「鹿さん…ふふ、チョッパーの事ね」
『そう!あの時、船のお医者さんだって』
俯き気味にぽそぽそと話すなまえを観察していたロビンは何かに気付いた様だった。
それは、幼い頃の、この海賊団に会う前の、不安と絶望に抗いきれなくなっていた頃の自分が重なって見えるようだったのだ。
「そう、辛いことを話してくれてありがとう。どうやってネコになったり人間になったりするのかわからないし、みんなにもこの事を話してもいいかしら?」
『あっはい。面白い話ではないですが…全然』
「いいのよ、きっと悩むのが馬鹿らしく思えると思うから」
『?それは、?』
「さぁ、そろそろ甲板に昼食が用意されてる頃よ。いい匂いがしてきたわ」
『…すん、あ!確かに…』
―くぅ〜
『!!!』
「ふふ、お腹が空いていてよかったわ。さあ、みんなに自己紹介しに行きましょう」
『っっ///はい、ありがとうございます!』
転生したくないって言わなかったっけ?
(ネコならネコ、人間なら人間、ややこしい事しないでよ神様)
2024.07.24
パニックで目を回して気絶している、海水まみれでぺしょぺしょの私を洗い流そうとレディ(メス猫)の私をそっと桶に下ろしてくれたようだ。
「レディ、お湯加減はどうかな?鼻と耳に水が入らないように、だったよな…?」
船の装置で海水が濾過された真水は、サンジの手で温度を確かめられ、少しぬるいくらいに設定された。
そして足元お尻からそっと怖がらせないようにシャワーをかけていく。
途端、
―――ボフン!!
大きな音と煙でネコが爆発したではないか!?
「えっ、なっ、!?はあ!?!?なんだ!?!?」
煙が収まった頃、彼の目に見えたのは…
―素っ裸の女性だった―
「ぶっはぁぁあああ!!!!!」
――ゴチーン!!!
彼があまりの衝撃に鼻血を吹き出し、後方に倒れた勢いで頭まで打った事で大きな音に気付いたメンバーがお風呂場に集まってきた。
「サンジ!?!?」
「なんだ、なんだ、どうした!?」
「すげぇ音したぞ!?」
チョッパー、ウソップ、ルフィと好奇心組が続々と集まる彼らが目にしたものは、
「「「裸の女〜〜〜!!!!!!」」」
その大声に反応したのは女性陣のナミとロビンで、2人は急いでお風呂場へ向かった。
到着した頃には鼻血で血の海になって倒れているサンジと、その処置をするチョッパーと、オロオロするウソップと、ナミとロビンを見てホッとするルフィだった。
「ちょっと、何よこれ!?」
「一先ず彼女にタオルをかぶせておかないとね、着られるような服あったかしら?」
「任せて、私が見繕ってくるわ」
女性陣のサクッとした対応に見てるだけの男性陣。
「アンタたちはサンジくん連れて向こう戻ってなさい」
「は〜い!」
血まみれの彼を運びながら戻って行った。
さて、残された女性は如何様にすればいいか…
「貴女、もう気が付いた?」
『あっ、はい。良くはわかっていませんが…ここはどこでしょうか?私は何故ネコに?』
「えっ!?あんたも分かってないの!?」
『はぃ、気が付いたら溺れていたみたいで、それで、ネコでした…』
「人間になったきっかけは?」
『特にはわからないのですが、お湯が腰あたりに来た時にムズっとした感覚があって、そしたらボフンってなって、人間に戻ってました…』
「ん?戻ってた?」
『あ、はい。私は多分元は人間だと思うのですが…そもそもここがどういう世界?なのかもよく分かっていなくて、記憶喪失とかそういう類で済ませられるようなものでもなさそうな気がするんです…』
「…はぁ、これは一度要会議ね。一先ずこれに着替えなさい」
オレンジ髪が艷めく女性が見繕ったであろう、Tシャツと短パンを下着と一緒に与えてくれた。
黒髪の女性はそのまま少し頭を整理しましょうと言い、質疑応答ならできそうならと質問に答えていくことになった。
「じゃあ、その間男共には甲板に集まるよう言っておくわね。昼ご飯もそこで食べながら整理したことを話しましょう」
「ええ、彼女が落ち着いたら向かうわ」
オレンジ髪の女性はそう言って外に出て行った。
もそもそと借りた服に着替える私を見て、残った黒髪女性がゆっくり話しかけてきた。
「先ずはお名前、聞いてもいいかしら?」
『あっ、えっと…なまえ、です』
「そう、なまえね。私はロビンよ。出身は?」
『ロビンさん、…出身は…日本、ですかね?』
「ニホン…聞いたことがないわね…、どこの海なの?」
『どこの、海?えっと、太平洋とかのことですか?』
「…噛み合ってないようね」
『そんな気がします…』
沈黙が流れたが、ロビンがじゃあ、溺れていた経緯はわかる?と聞いてきたので、私はドキリとした。
そう、あの時、私の最後の記憶は海で溺死しようとしていたのだ。
「言い辛い?」
『ぃぇ、あ、の、…私、多分こことは違う世界から来たんだと思います。転生、とか?』
「どうしてそう思うの?」
『非現実的なのはわかってるんですけど、私は多分あの時に死んだはずなんです』
「死?あの時って?」
私は俯いたまま少し考えて、ゆっくりとあの日の夜の海を、最後の景色を思い出していた。
『何もかも…生きることに疲れてしまって、死のうと思って、海に入ったんです…夜の…静かで、月明かりが反射する景色と、打ち寄せる波に身を任せて、深く深く…そこで意識が途絶えて、…噎せて起きたら何故かネコで、金髪のキラキラの人が私をすくいあげたって、鹿さんが言ってました…』
「鹿さん…ふふ、チョッパーの事ね」
『そう!あの時、船のお医者さんだって』
俯き気味にぽそぽそと話すなまえを観察していたロビンは何かに気付いた様だった。
それは、幼い頃の、この海賊団に会う前の、不安と絶望に抗いきれなくなっていた頃の自分が重なって見えるようだったのだ。
「そう、辛いことを話してくれてありがとう。どうやってネコになったり人間になったりするのかわからないし、みんなにもこの事を話してもいいかしら?」
『あっはい。面白い話ではないですが…全然』
「いいのよ、きっと悩むのが馬鹿らしく思えると思うから」
『?それは、?』
「さぁ、そろそろ甲板に昼食が用意されてる頃よ。いい匂いがしてきたわ」
『…すん、あ!確かに…』
―くぅ〜
『!!!』
「ふふ、お腹が空いていてよかったわ。さあ、みんなに自己紹介しに行きましょう」
『っっ///はい、ありがとうございます!』
転生したくないって言わなかったっけ?
(ネコならネコ、人間なら人間、ややこしい事しないでよ神様)
2024.07.24