-BlueRosePrincess-【凍結】
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――運命の日は突然に――
最近思うこと。
原作の知識が段々と曖昧になってきた気がするのだ。
流石に何年もこちらで生活していると、前の記憶が薄れてきている。
当然といえば、当然なのだが…
枢は相も変わらず私にべったりで、優姫はそれを見て喜んでいる。
(原作でも、父様と母様のバカ夫婦振りに喜んでた気がするな…)
そんな光景を見ていると、原作の流れに乗ってほしくないと願ってしまいそうになる。
そろそろ紅茶がヌルイな…と思い席を立つと、すかさず枢に呼び止められた。
「なまえ、どこ行くの?」
『紅茶を替えに。………枢も来る?』
「行く」
少し席を外すだけで“どこ行くの?着いてく”という目で見られる始末。
(優姫そっちのけでべったりと…はぁ、)
好きな子に好きと言われて、悪い気はしない。
むしろ可愛いし。
優姫にそっけない枢は、優姫殺人未遂事件以来まだ少し警戒が必要そうだ…。
そんな真夜中のティータイムもお開きにして、みんなの集まるリビングで優姫にご本を読んであげたりと家族団欒を楽しんでいると、優姫がいきなりビクリと身体を震わせ怯え出した。
『?優姫、どうしたの?』
「あのね、お姉様。時々ね、私のことを誰かが見てるの。右と左で色の違う目が、私を美味しそうな目で…」
「―っ、」
両親は顔を合わせて、私は固まってしまった。
(ついに原作が始まった…運命が動き出したのね…)
家中が慌ただしくなり、枢は外に出て行こうとした。
『―っ、枢!』
「大丈夫だよ。ちゃんと帰ってくるから」
(知ってる…知ってるよ…でも、)
どうしても不安が拭えなくて、私がイレギュラーな存在だから、もしかしたらどこかで運命が捩曲がっていて…どんな悪い方向に転ぶかなんてわからない。
ずっとギュッと握っていた枢の服の裾から、そっと手を外されて、その手をそのまま…
軽く吸われた後に、ちゅ、というリップノイズを立てて離れた。
左手薬指に紅い花。
「約束。必ず終わらせて、なまえの所に帰るから。そしたらここに本物の指輪を贈るよ」
『―っ、!』
うちの弟は、なんてキザなことをしてくれるのだろうか。
顔から湯気が出てるのではないだろうかと思うほどに、真っ赤になってしまったことが容易にわかるくらい、熱い。
「ふふ、なまえの顔、真っ赤ですごく可愛い」
『~っ、枢のせい…だからね』
そんな枢に仕返しのつもりで左手をとると、同じ所にキスをした。
「―っ、!」
『ちゅ、私コレの付け方わからないから…これで枢も、同じ…ね?』
「はは、これは…なまえに一本取られちゃったね。うん、同じ。待っててね、なまえ。愛してるよ」
『ふふ、知ってる』
そう言うと枢は扉の外へ行ってしまった。
残された私はその場にへたり込んで、
(―っ、私ってば何てことを…!)
恥ずかしさのあまり、暫く動けないでいた。
薬指の紅い花
(ここに貴方との指輪が光るのは)
(もう少し先の話し)
2011.06.18