-BlueRosePrincess-【凍結】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――歯車が軋む音がした――
今日は何かがおかしい。
いつも僕を避けるお姉様が、僕を部屋に招いた。
『ねぇ枢、大事なお話をしましょう』
「うん…なぁに?お姉様」
するとお姉様は僕を膝の上に乗せた。
お姉様は僕にあまり触れてこないし、話さない。
理由はわからないけど、気付いた時はいつも僕を避けている。
そんなお姉様が僕を膝の上に乗せてくれた。
僕はお姉様が大好きだから、うれしくて少し舞い上がっていたんだ。
『枢、枢は絶対にお姉様を好きにならないで』
「えっ…‥」
『姉様にはね、“先読み”って力があるの』
「さき、…よみ…?」
なまえは原作の知識を“先読み”という力という事にした。
その方が都合がいいと判断してのことだった。
『そう。父様にも母様にも秘密』
「ひみつ…?」
『この秘密、守れる?』
「はい!お姉様」
お姉様には不思議な力があることは薄々感じていたので、そんなに驚かなかった。
そんなことよりも、お姉様が秘密を僕だけに話してくれたことの方がうれしかったのだ。
『じゃあもうひとつ。お姉様を好きにならないでって約束も、守ってくれる…?』
「そ、れは…」
『枢はいい子ね』
有無を言わせないように、それでも先を知ってるが故か、切に願うように、でもとても悲しそうな目で僕に言った。
でも…
「でき…ません、お姉様」
『どうして?』
「僕はお姉様のことが、『枢、枢にはね、大切な愛すべき、愛する妹が出来るの』…妹?」
言葉を被せるように遮ってまで放たれた内容は、妹。
何故このタイミングで…
『これは姉様の先読み。だからお願い、枢は私を好きになっちゃダメ』
「…そんな…そんなの…」
『枢いい子ね。約束、して…?』
宥めるように頭を撫でられたその手をぐっと掴んで、
「い、やだ…約束は、守れません」
『枢…』
掴んだ手をぎゅっと握る枢は真っ直ぐになまえの目を見た。
「僕は姉様が好きです。どんなに冷たくされても、お姉様はやさしくてあたたかい人だから…」
枢の言葉は正直うれしかった。
ここで、もう甘やかしてしまおうかと思ったほどに。
でも、
どこか踏み切れない自分もまだいて…
存在自体がイレギュラーなのは理解し納得していたはずなのに、いざ、素直になろうと思うと
怖い
何がとははっきり言えないけれど。
だから…
『枢…ありがとう枢。…でもダメ。運命は変えちゃダメなんだよ』
「いやっ!嫌ですお姉様!!」
『枢が約束を守れないなら、姉様は枢とはいられない』
「な…んでっ、?」
『枢がこれ以上、私を好きにならないために』
「そ…んな…!だめっ、やだ!!お姉様は僕のなんだ。お姉様はずっと僕の傍にいるんだ」
『か、枢…?』
急に雰囲気の変わった枢に驚いたなまえは、ただその光景を見つめるだけで、
「どこにも…行っちゃだめ!」
強い勢いでなまえを押し倒した枢は、そのまま上に乗って唇を近付けた。
『ん゛っふ、‥あぅ、だ…めよ…む…ん…っ!』
生気を唇から逃がさないとばかりに、奪うように噛み付くように口付ける枢。
「はぁ…はぁっ…」
『はぁっ…ふ…う、‥か…なめ…』
大量に生気を吸われたなまえは、頭が朦朧とし、息も絶え絶えになりけだるげに枢を呼ぶ。
そんななまえを見ながら枢は更に、
「だめ…姉様は、僕の…」
そう言うと、そっとなまえの首筋に唇を運び、ゆっくりとねっとりと舐めて、最近生えてきた牙を…
『う゛あっ!!―っ、か…なめ!やめ、なさ…い!』
――ジュルッ、ジュ…
なまえの大量の血の匂いに驚いた両親が、慌てて部屋へ飛び込んできた。
「なまえ!!どうした…―っ!」
「なまえ!!―…枢…?」
そこには瞳と口許を赤く染め上げた枢と、その腕に抱かれぐったりとしたなまえの姿が。
「父様、母様、僕に姉様をください!妹なんていらない…姉様だけがほしいです…!!姉様を僕に…!」
枢はそう叫ぶと、腕に抱くぐったりと意識を飛ばしたままのなまえをぎゅっと抱きしめた。
逃げちゃだめ。
(僕だけを見て)
(ああ、失敗)
(事実を受け入れなければならないみたい、ね)
2010.10.12