-BlueRosePrincess-【凍結】
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優姫と英の一件で倒れてしまったなまえは、枢に抱かれ部屋へ戻っていた。
思ったより早く意識が戻ってきたがまだぼんやりとしている。
薄い感覚の中で微かに聞こえたのは、枢と暁の話し声。
どうやら部屋の前の廊下で話しているようだ。
「優姫はね、世界でただ一人の…大切な娘だよ…」
『―っ、!』
不意に聞こえた枢の声で、一瞬にして目が冴えてしまった。
そうだ、
私は最初からわかっていたはずだったのに…
自分はイレギュラーな存在で、世界をねじ曲げてしまうものだと。
枢の大切はいつだって“優姫”であるはずなんだと。
私は枢の優しさに甘えていたんだ。
たった少しの寄り道で、枢があまりにも私を大切にしてくれるものだから、勘違いをしていたんだ。
枢の一番は、私がこの世界に生まれる前から決まっていたんだと。
原作の強制力が働いたのだろう…
なのに、頭では理解しているはずなのに…
どうしようもなく震える身体を自分で抱きしめた。
「だけど架院、君は勘違いをしているね。僕が優姫を大切にする理由を」
「…?」
枢はそのまますぐ後ろの、自室の扉を開くと、そこには一面に広がる青い薔薇の咲き誇る茨があった。
「―っ、!!」
異様な光景に動揺を隠せなかった暁を他所に、枢はずんずん奥に進んでいった。
そして、部屋の最奥に小さくなっている女の子をそっと抱きしめた。
「僕の一番はいつだってなまえなんだ。なまえは世界で、なまえは命。そのなまえが大切にしている娘、それが優姫。……聡い架院はこれでわかったよね?」
「……出過ぎた真似をお許しください」
枢の言葉の意味を汲み取ったのか、はたまた納得したのか、床に膝をつき頭(コウベ)を垂れる暁にしっかり忠告するように
「今見たモノは全て忘れなさい」
「、はい」
出ていこうとする暁の背中に「二度目はないと言っておくよ」と声をかけることも忘れずに。
「なまえ…不安にさせて悪かったね」
『………………』
「なまえ、僕はいつだってなまえが一番だよ。今も昔も、これから長い未来だって」
『…枢の一番は、』
「なまえ。なまえしか考えられない。なまえでないとダメなんだ」
『―っ、でも、ね…』
「先読みなんて僕が壊してあげる。なまえを不安にさせるものは、全て僕が壊すよ」
優しく笑って抱きしめる枢の腕は、強く頼もしく、愛に溢れていた。
『―っ、かなめ』
「大丈夫だよ。ゆっくり、」
涙が溢れてきた。
どうしようもなく怖かったんだ。
自分が存在する意味や、枢が離れて行くかもしれない恐怖、自分の身体に起こった異変…
全てを溶かすように、優しく抱きしめて、たくさん名前を呼んでくれる枢に、なまえはどうしようもなく依存していることに気付いてはいたが、どうすることも出来なかった。
『こわい、の…』
「この青薔薇や茨はなまえの能力だよ。僕の血で、目覚め始めたんだ…なまえの力は元々、封印されていたから…」
『どう、して…?』
「それは…」
「いずれわかるよ」と微笑んで、はぐらかされた。
納得はいかなかったが、今聞いてしまっても混乱するだけだろうと自分に言い聞かせて、納得したフリをした。
「なまえ、渡すのがすっかり遅くなってしまったけど」
『、?』
ベッドの傍のサイドテーブルにある引き出しから、小さな箱を取り出してきた枢。
「もう二度と、こんな不安にさせない為に」
『―っ、!!これ…!』
「約束したからね」
『覚えて…』
「当然だよ。なまえの言葉や行動全て、一字一句忘れたりなんかしない」
左手薬指の約束
(アンティークローズの中心に輝く、ダークレッドの宝石)
(有難う!すごく嬉しいわ!!でも、)
(枢の、は…?)
(…………)
(お揃いが、よかったな…)チラッ
(―っ、!!////)
((明日すぐにでも手配させよう!!))
◎指輪の装飾についてる宝石は(キスマーク/瞳の色)の意味があって、ダークレッドの宝石です。
あのあと、直ぐに作らせた指輪は同じデザイン(アンティークローズの台座はなし)と同じダークレッドの宝石で、枢の薬指にはこのお揃いの指輪が満足気に光っているとか。
2012.07.07