-BlueRosePrincess-【凍結】
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枢の血を飲んだ次の日の早朝、身体の異変に気付いて目を覚ました。
以前からそれなりに【気配】というものは感じ取ってはいた。
でもそれは極近くのことで、扉1枚程度の距離だった。
なのに今、玄関ホールにある複数の気配にこれは、、
英のものだろう。
また勧誘にきているのか、英はイライラしてるのが安易に想像できた。
そして、もうひとつ。
こちらに近付いてくる気配が…
(こんなに遠くの事までわかってしまうなんて…)
(枢の血を少し口にしただけなのに…)
玄関ホールに到着したであろう気配を、元の世界へ帰すためになまえはそっと、枢の傍を離れて部屋を出た。
玄関ホールにある階段にたどり着くと、優姫が英に追い詰められているところだった。
『英、優姫を苛めないでちょうだい』
「なまえ様…!」
「なまえセンパイ!!」
一瞬驚いた顔をした英だったが、更に言葉を続けた。
「いつか君の首筋に枢様の唇が優しく触れ…枢様の牙がゆっくりと突き立てられるんだ…枢様が自分の血を飲み下してくれる音が聞こえたらきっと優姫ちゃん“感じ”ちゃうよ?そうだ!今すぐ枢様にお願いしようよ“私の血を飲んでください”って」
『英、いい加減にしなさい』
「―っ、!!!!!」
「!!」
最後の言葉を聞いた瞬間、いつもより格段に低い声が出た気がする。
怒りで、感情が高ぶる。
目の前には驚きを隠せないでいる英と、優姫は恐怖に似た表情でこちらを見ていた気がする。
『(私が、威圧しているのだろうか…?)』
意識はぼんやりし、コントロールを失ったかのような感覚になる。
そんな視界を、優しい手が覆った。
「なまえ、感情を乱してはいけない。落ち着いて」
『―っ、』
「なまえ、大丈夫だよ。僕はここにいるから」
『っ、か…なめ、』
「なまえ」
優しく枢に抱き締められて、ゆっくり諭すように声をかけられて、なまえは漸く安心して意識を手放した。
「優姫、英。今、何か見たかな?」
先ほどの空気とは一変し、枢から有無を言わせないような、威圧的で支配者のような声色で投げ掛けられた質問に優姫と英は嫌な汗が流れた。
「何か、見た?」
「―っ、い、え…何も見ていません」
「そう。優姫は?」
「あのっ、わ、私も…」
「そう、よかった。ならもう優姫はお帰り。彼がそこまで来てるから。なまえをこれ以上困らせないでね」
「あ、う、すみません…」
落ち込む優姫を、迎えにきた零に引き渡した。
そのまま英に振り返り、
――ビシッ、
「二度はないと思いなさい」
「…大変、申し訳ありませんでした」
膝を付き、頭を垂れる英を、頬を叩いた時に付いた血を舐めながら見下す枢の瞳は酷く冷めていた。
そのままなまえを優しく抱き上げ、部屋へと帰っていった。
一面に広がる青い薔薇
(なまえが能力に目覚めた)
(僕の血が、鍵を開けた)
(愛しいなまえ、僕だけの)
2012.06.10