-BlueRosePrincess-【凍結】
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あのあと、なまえをベッドに寝かせた枢は、血の匂いに騒いでいる生徒達を静めるために部屋を出た。
一方、なまえは…直ぐに目を覚ましていた。
それも、初めて経験する激しい“餓え”という感覚に襲われて。
今まで餓えることなく、血を口に含むことなく成長してきたなまえにとっては戸惑いしかなかった。
『はぁ、…うっ、く…はぁっ、はぁ…っ、(どうしよう…自分の手を噛む?痛そう…うーん…あ、タブレット!確か枢の机の中にあったはず…)』
そう思い立って直ぐに枢の机に向かった。
引き出しに手を伸ばした途端、その手を誰かに掴まれて、そのままの勢いで後ろに振り向かされた
そこには怒りと悲しみと、たくさんの感情がぐちゃぐちゃになったような瞳の枢がいた。
「なまえはホントに酷い人だ。何でアイツに血をあげたの!?何で…!!?」
本当に辛そうに、掴んだ手をギリギリと握りしめる枢。
『ごめんね。枢を悲しませる事はわかっていたけど…先見が…っ、!はあっ、うっ…だ、め…ごめ、枢…後に、して‥くれ、る…かな』
少し治まったと思っていた餓えが再びやって来た。
あまりの苦しさに枢を遠ざけようとするが、枢はびくともせずに寧ろ距離を詰めてきた。
「なまえ、血がほしいんでしょ?」
『―っ、』
「初めて見たよ。なまえのそんな目…すごく綺麗だ。初めての餓えで戸惑っているんだね。でも、タブレットはダメ。僕だけの血を飲んで。それ以外、口に含むなんて許さない。ほら…」
枢はそう言って首元を大きく開けて、なまえの口許まで持っていき高さを合わせた。
『やっ…いや…よ、噛みたく、な…』
(人間だった頃の記憶が、セーブを掛ける)
「それは、僕の血がイヤだということ…?」
『ちがっ、…!うっ…っ、枢…そんな、顔…っ、ダメっ…』
(泣きそうな顔なんて、反則よ…)
「なまえ、ほら。おもいっきり噛んでもいいから、早く」
『わかんな、こわっ…ぃ、!や、だぁ…』
(そんなこと、言わないで)
どうしても噛もうとしないなまえ。
しかし餓えは激しくて、今にも倒れてしまいそうな姿は見ていられない。
「なまえは本当に強情な人だ。今回だけだよ」
そう言って枢はなまえに口付けると、そのまま舌を入れて深いキスをした。
『ふっ、う…っ、あっ!』
なまえの口の中をうごめいていた枢の舌が、なまえの牙に当り、血が溢れてきた。
なまえは本能に抗う事ができず、そのままぬるぬるとよく滑る甘美な血を少しずつ舐めて含んだ。
初めての血の味は、鉄の味がするのかと思っていた。
なのに…
(枢の血の味は…甘い、?)
(止まらない…もっと…)
も っ と … ?
(―っ、私今何を考えた?)
(今…“もっと”って…)
『―っ、!!』
自分の中に芽生えた感情に驚き、枢の胸をおもいっきり突き放した。
枢はいきなりの行動に一瞬目を見開いたが、直ぐに理解したのだろう。
とても優しげで嬉しそうな顔をして
「今回だけだからね。次からはちゃんと噛むんだよ、なまえ」
なまえは何も答えなかったが、枢は満足したようで、外でまたもや血の匂いにまた集まってきたのであろうメンバーに、何でもないと伝えるため部屋を出ていった。
それは真っ赤な愛の味がした
(血を飲むことで、想いが伝わるというけど)
(枢の血からは、私を愛する気持ちで溢れかえっていた)
(零、私の血はどんな味がした…?)
2012.05.28