-BlueRosePrincess-【凍結】
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【吸血鬼】それは、【人の生血を啜る、人の形をした狂獣】
私立黒主学園、宵の刻。
月の寮と校舎を繋ぐ門の前で、左腕に腕章を着けた女の子が一人、奮闘していた。
理由は、この学園は全寮制の名門校で、普通科の【デイクラス】と夜間部の【ナイトクラス】が入れ替わるこの時間、門の前が混乱状態になるのだ。
更に言うと、このナイトクラスはエリート集団で、美形の集団でもあるからである。
『今日もあの子の声、するね』
「そうだね」
『枢、そろそろ…』
目の前の大きな扉が開かれた。
そして、先陣を斬った男の子が挨拶をした途端、黄色い声が上がる。
その隅で、勢いに押されて転げ出る女の子が…
『っ、優姫!』
「あっ、なまえセンパイ…!」
「大丈夫かい、優姫」
「…枢センパイ」
大丈夫です!と勢いよく立ち上がった女の子、黒主優姫は顔を赤くした。
『なんか、寂しいな…優姫』
「でも…センパイは命の恩人ですから」
「なまえもこう言ってるんだから、気にしないで。そんな昔のこと…」
優姫に触れようとした枢の手を、他の誰かが掴んだ。
『ダメよ零。枢の手を放してちょうだい』
「………」
枢は無言で放された手をなまえと繋ぎ、
「恐いね、風紀委員さん」
『ごめんね、零。またね、優姫も』
「あっ、はい!/////」
別の生徒からリボンの付いた薔薇を受け取り、去っていく枢達を眺めながら見送る二人。
「…お前があいつらに好意を持とうが俺には関係ないが、わかってるだろうな?」
優姫と同じく左腕に腕章を着ける男の子、錐生零は鋭い瞳で優姫を見た。
「わかってるよっ、“あの人たち”が私達とは違う存在だってこと」
見目麗しい彼ら、ナイトクラスはただのエリート集団ではない。
デイクラスの一般生徒が知らない秘密。
彼らは全員【吸血鬼】だということ。
風紀委員の腕章の真の姿は、学園の【守護係“ガーディアン”】の印。
ナイトクラスの秘密を守る為の保安要員だ。
遥か昔から歴史の陰で吸血鬼対人間の闘争は続いてきた。
その陰の歴史を知るのは、国の要人など限られた人間だけだが、恐るべき【吸血鬼】の存在は事実なのだ。
転がり始めた石はもう、
(止まらない)
2011.12.16