〜春を呼ぶ妖精たちの祝祭〜【完結】
夢小説設定
この章の夢小説設定ヒロイン≠ユウ
転生トリップ女性
男装している
オンボロ寮生
恋人未満
レオナのお世話係
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「…意外だったわ。アンタがこんなに優雅に歩けるなんて…すごいわ!ジャミル」
「ヴィル先輩にお褒めいただけるなんて、光栄です」
「カリムも姿勢がよくて上品。ご実家の教育の賜物かしらね」
「そうか?へへっ、ちょっと照れるぜ。あ、でも…姿勢がいいのは実家の教えっていうよりダンスが好きだからかも」
「カリムは幼い頃から伝統舞踊を習っていますし、俺もストリートダンスを少し嗜んでいます」
「なるほど。だから2人とも体幹が鍛えられているのね。それに比べて…」
「………」
じっとりとした怒りの目がレオナに向けられる。
「レオナ。アンタのだッッッッッッッさいウォーキングはなに!?」
「あ?スカラビアの野郎共と同じだろうが」
「全然違う!ジャミルの軽やかさ、カリムの高貴さ…どちらも、あんたにはこれっぽっちもない!足が地面を擦ってる。姿勢も悪い。歩くときに頭が揺れるし、肩で風を切っててガラが悪い!王子の肩書きが聞いて呆れるわ。玉子の間違いなんじゃないの?」
「けちょんけちょんに言われてるッス…」
「…シェーンハイト。キングスカラーのような駄犬には、まず二足歩行を躾ける必要があるんじゃないか?」
玉子は言い過ぎだと思うけど、確かにランウェイを歩くような歩き方ではなかったので、フォローのしょうがない。
クルーウェル先生は呆れている。
「…確かに、クルーウェル先生の言う通りね。ウォーキングの基礎もないレオナが気の利いたパフォーマンスをするのは無理。どっちつかずになるくらいなら、いっそのことウォーキングに集中させたほうがいい。…不本意だけど、この男の無駄に偉そうなオーラをうまく活かせれば目を惹くメインモデルになるわ。スカラビアの2人は既にウォーキングは100点。だから次の段階…ダンスに挑んでもらう。ダンスパフォーマンスでポンコツメインモデルを引き立てつつ、会場を盛り上げる役目よ。全体のパラメータを考えると、これしかない」
「ああ。キングスカラーという穴を埋めるにはシェーンハイトのプランしかない」
頭を抱えるヴィルとクルーウェル先生は苦い顔をしていた。
「こんなにどうしょうもないレオナ先輩を、俺たち2人でカバーできるだろうか…」
「がんばろうぜ!レオナのこともちゃんと面倒見てやるって、最初に約束したんだ」
「サバナクローの寮生として恥ずかしいッス…手間のかかる寮長ですみません」
『レオナさんはやれば出来る人なので、きっと大丈夫ですよ』
「2本足の歩き方ならオレ様がコーチしてやるから、いつでも言うんだゾ」
大人しくしていたグリムまでからかい始めてしまった。
「お前ら 黙って言わせておけば…!!」
「ビークワイエット!無駄吠えをするな!!いいな、仔犬ども。シェーンハイトのレッスンを受けて、最高のファッションショーに仕上げろ!」
「さあ、早速フェアリーガラに向けてレッスン開始よ!」
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「あたたっ!ごめん、またぶつかっちまった」
「カリム、今のはお前が一歩前に出るタイミングだぞ」
「カリムは1つ1つの所作は綺麗なのに、振りのミスが多いわね」
「楽しくなってくると体が勝手に動いちまうんだよなあ…」
「ジャミルは踊り自体にミスはないけれど、逆に優等生すぎて盛り上がりに欠ける」
「はい……」
--ガチャッ
「ヴィル先輩、お疲れ様です。ユウくんたちと一緒に、練習の様子を見に来たッス。ウチの寮長、ちゃんとやってます?」
「おい!!!」
「おっ、レオナさん。サボらずちゃんと……!?!?ど、ど、どうしたんッスか!?頭と肩に、花瓶なんか乗っけて!!」
「ヴィル!!!さっさとこの花瓶をどけろ!!!」
「アンタの姿勢を正すには必要なレッスンよ!花瓶の水をこぼさずに部屋を1周できるようになりなさい」
「てんめぇ…」
--バシャアッ
『あっ、レオナさん!!』
「………」
「レオナが…水浴びしたみてえにびちゃびちゃになってるんだゾ…」
「はい、また水がこぼれたやり直し。あ、心配はいらないわよ。水のおかわりはいくらでもあるから」
「〜〜〜!!!!!あーもうやめだッ!一生冬だろうかなんだろうが知らねえよ。こんな馬鹿馬鹿しいことやってられるか」
『っ、ブルブルしないでください!』
「………」
タオルを持って駆け寄ったなまえに構わず、怒り任せに水をきる様に頭を振ったレオナさんのせいで水飛沫がなまえにかかった。
「レオナさんはダメダメ、カリムくんとジャミルくんのダンスもガタガタ…こんなんで本当に、フェアリーガラに間に合うんッスか?」
「アイツらが会場の視線を奪わねえと、ピンチになるのはティアラを奪うオレ様たちなんだゾ」
「作戦変更するべきかな…」
「なにも問題ないわ。アタシのモデル精神にかけて、《ティアラも視線も独り占め大作戦》は成功させてみせる」
「でも、いったいどうやって?」
「成功する方法は、たった1つ。…ひたすらビシッバシ!!体に正解を覚え込ませるのよ!!」
--バシン!!!
「「「うわあっ!!」」」
「ひえっ…魔法でお尻に喝を入れられてる」
「3人とも、立ちなさい。今からアタシの許可なく座ったらスクワット500回よ!レオナはもう一度花瓶を頭に乗せてウォーキング。水をこぼしたら空気椅子1時間!体幹を鍛えなきゃお話にならないわ。カリムとジャミルはどちらかがミスする度に二人三脚で学園1周ランニング。息が合うまで連帯責任よ!」
「そんな…」
「えらっそうに…テメェは何様だ!?」
「世界的スーパーモデル…ヴィル・シェーンハイト様よ!!」
--バシン!!!
「「「痛い!!!」」」
「お、鬼コーチなんだゾ…」
スーパー鬼コーチモデル様
{おしりペンペン魔法だ…}
2020/06/12