〜春を呼ぶ妖精たちの祝祭〜【完結】
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この章の夢小説設定ヒロイン≠ユウ
転生トリップ女性
男装している
オンボロ寮生
恋人未満
レオナのお世話係
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「話は決まりましたね?カを合わせて、この窮地を乗り切りましょう!…では改めて、話を整理しますね」
①“フェアリーガラ”を無事に開催する。
②“魔法石”を取り戻す。
「みなさんは、この2つを同時に達成しなければなりません。さて、どうしますか?」
作戦を考える羽目になってしまった寮長達は、渋々ながらも意見を出し合うことに。
「マレウスはあの女王と同じ妖精族だろ?“大切な石だから返してほしい”ってお願いしたらどうかな」
「ーロに“妖精”と言っても、その中には数多の種類が存在している。植物の妖精、光の妖精、動物の妖精…アザミの妖精から僕のようなドラゴンまで、全て“妖精”だ。大きさも違えば、言語も異なる。仲が良いとも限らない。人間と同じようにな。恐らく、僕が会場に足を踏み入れただけで、小さな妖精たちは怯え、散り散りに逃げ出すだろう」
「チッ、使えねぇヤツ。説得できないならもうカずくで奪うしかねぇだろ」
「それでは事を荒立てる。気付かれないよう、穏便に取り返す方法を模索すべきでは」
「気付かれないように…」
皆の考えが煮詰まってきた頃、ヴィルの考えが響いた。
「じゃあ、偽物のティアラを作って本物とすり替えるのはどう?映画の撮影で使われる宝飾類はイミテーションがほとんど。でも、ー見してそれが偽物と気付く一般人は少ないわ」
「…確かに。あの妖精たちは魔法石を単なる“美しい石”としか見ていないようだ。同じような美しさであれば贋作に気付きはしないだろう」
「でも、いつすり替えるつもり?見た通り女子の周りは厳重な警備!ヨソ者がティアラに近付くとか無理ゲーでは?」
「フェアリーガラは盛大な催しなんでしょう?参加者全員を把握なんてできないはず。ガラ当日なら、誰が女王に近付いても不自然じゃないと思うわ」
「フェアリーガラに潜入してティアラに接近、偽物とすり替える…。なかなかよさそうな作戦ですね!ですが…妖精に変装できる魔法や道具なんて、そう都合よくあるはずが……」
「IN STOCK NOW!」
突然、タイミングよく現れたのは、購買のサムさんである。
驚く寮長達を後目に、ナチュラルに営業を始めた。
「学園長と小鬼ちゃんたち。どうやらお困りのようだね」
「さすがサムさん。人のピンチ…基、ビジネスチャンスには敏感でいらっしゃる」
「ニッヒッヒ。“秘密の仲間”が教えてくれたんだよ。今、学園長がほしいものは…これだろ?」
サムさんが取り出したのは、小さな丸いフラスコの様な小瓶に詰められた金色に光る粉。
マレウスはそれを見ると思い当たる節があったのか…
「瓶に入った金色の粉末…それは〖妖精の粉〗か?」
「Yes!その通りだよ、立派な角の小鬼ちゃん。〖妖精の粉〗は、郷に住む妖精たちの力の源。これがなきゃ空も飛べなくなるらしい。郷の妖精であれば必ず身に纏っている。逆に言えば…この〖妖精の粉〗を纏っていれば誰でもWe are crew!妖精の仲間になりすまして、会場に潜入できるって寸法さ!」
「妖精の郷の者たちは、〖粉の番人〗を立てるほど〖妖精の粉〗を大切にしていると聞く。よく手に入れられたな。…一体どうやったんだ?サム。」
問い質す様な鋭い瞳でマレウスはサムを見たが、彼もツテを明かす訳のないプロなので、飄々と躱すように笑った。
「例え高価な代物でも、フェアリーガラのためなら仕方ありませんね…妖精の粉、買います!経費で!」
「サンキュー!お買い上げありがとう」
「…さて。無事に妖精に変装する手段は見つかりましたが…この小瓶に入った妖精の粉の量では、寮長全員にまぶすことは出来ない。いったい誰に、フェアリーガラに潜入してもらいましょう」
そこで、マレウスから有力な情報がもたらされた。
「フェアリーガラには身分の高い妖精たちが集まるという。豪華な衣装はもちろん、洗練された振る舞いも必要になるだろう」
「ふんふん。潜入に向いているのは、身分の高い人物が集まるパーティーの振る舞いに慣れていて…」
「俺の地獄耳によれば、今年のフェアリーガラのテーマは“エキゾチック”さ!」
「エキゾチック…つまり、異国の情緒を感じさせる人」
ここまで分かればもう限られた人しか思い付かないであろう。
・身分が高い
・パーティ作法がわかる
・エキゾチック
当然あの二人に視線は向く。
「ん?みんなどうした、オレの顔になんかついてるか?」
「おい、俺を見るんじゃねぇ」
「妖精の郷の者たちがエキゾチック…異国の風情を感じるとしたら、お前たち2人だろう」
「ええ。獣人属や砂漠の文化は珍しいはず」
「レオナさんは腐っても王族でいらっしゃいますし、カリムさんは熱砂の国でも有数の大富豪の跡取り。パーティーにもさぞかし慣れているのでは?」
尤もである。
「潜入班はレオナ氏とカリム氏でk(オーケー) gg(お疲れ様)!」
「潜入班の皆様はこれから準備でお忙しいでしょうし…僕たちは退散しますね」
「僕は元々呼ばれていなかったしな。お暇するとしよう」
「というわけで、学園の平和はキングスカラーくんと、アジームくんに託されました」
「いいぜ、任せとけよ。みんなが困ってるなら、カになってやりたいしな!」
楽観的で光属性なカリムは、後先考えることも無く、まあ何とかなるだろうと軽く引き受けてしまった。
対してレオナは
「俺は絶対にごめんだ!くだらない祭りに潜入だなんて、やってられるかよ。第一、俺は浮かれたパーティや祭りってやつが大嫌いなんだ」
妥当な反応である。
だが、そんな彼に学園長はこっそりと耳元で商談する
「キングスカラーくん。もしアジームくんが失敗して春が来なくなったら…一番困るのは、猫科の獣人である貴方では?ずっと冬のままでは、十分な力が出せないでしょう。サバナクローの生徒には獣人属が多い。気温の変化で活動できなくなる者も多いでしょうねえ。寮のパワーは大幅にダウン。本当に、このままでいいんですか?」
「チッ、仕方ねぇな」
俗にコレを“脅し”とも言う。
「妖精たちの祝祭か〜ワクワクするな!あっ、せっかくだしジャミルも連れて行っていいか?」
「はい。是非、いやお願いなので連れて行ってください。そちらの方が安心です。キングスカラーくんも、目を離すとサボりそうですし、監視役が必要でしょう。そうですねえ…同じサバナクローで真面目なハウルくんにしましょう。あと、お世話係のなまえくんも」
「なまえはいいとして、よりにもよって融通の効かねえ頑固犬かよ。それにアイツだと…だめだ。ラギーにしろ
「ブッチくん?彼なら言うことを聞くからってサボるつもりじゃないでしょうねえ?なまえくんは確定にしますよ」
「そんなに信用ならねぇっていうなら、俺を潜入メンバーから外せよ」
「学園の一大事に…どうしてうちの生徒はこうも自分勝手なんでしょう!?監視の意味でも、随時報告してくれる雑よ…いえ、まとめ役をつけます!というか、もう呼んでるんですけどね」
「まとめ役?それって、もしかして…」
カリムの予想通り、タイミングよく扉から現れたのは…
「学園長、用事ってなんでしょうか?」
「オンボロ寮が砂漠みてぇに暑いんだゾ〜!このまんまじゃオレ様たちも オンボロ寮にいられねえ〜!」
「やっぱりユウとグリムかぁ〜!お前たちもフェアリーガラに参加するんだな。頼もしいぜ。よろしくな!」
「草食動物がうじゃうじゃと…俺は引率の先生じゃねえぞ」
「そんなに怖がらなくても大丈夫。オレがちゃーんと、レオナのことも面倒みてやるよ」
「あ"あ?」
「既に喧嘩が始まりそうだ…いいですかユウくん!潜入班のみんながフェアリーガラで問題を起こさないよう、見張ってください」
潜入捜査班、結成
(勘弁してください)
2020/06/11