〜春を呼ぶ妖精たちの祝祭〜【完結】
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この章の夢小説設定ヒロイン≠ユウ
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オンボロ寮生
恋人未満
レオナのお世話係
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「容疑者である妖精たちに気付かれないように そっと中を覗いてくださいね…」
植物園へ急行した面々はそっと近付き、妖精たちに気付かれないよう硝子越しに観察した。
「あっ、いましたよ。小さな妖精が集まっています!確かに虹色の石をもっていますね」
「ああ、あの石です!あれこそ、鏡の間から消えた大切な魔法石です!」
「木の葉に身を包んだ妖精。あれらは“ものづくりの妖精”と呼ばれる者たちだ。奴らは、妖精が季節を変えるために必要とする道具などを作る役目を持っている」
「ということは、なにかの道具作りに使うために魔法石を盗んだんでしょうか?」
「あ、別の妖精がやってきた。なにか抱えているね」
「抱えているのは…ティアラ?魔法石を、ティアラの中央に填めたわ」
キラキラと輝く繊細なティアラの中心には、虹色に輝く宝石…基、魔法石がカッチリと填め込まれた。
「まさか魔法石を盗んだのはただの飾りに使うため!?」
「あ、今度は他よりも大きな妖精が出てきた」
「護衛もいっぱいで分かりやすい強キャラ感」
「おや……確か、彼女は…」
「魔法石のついたティアラが彼女の頭に乗せられました」
「なるほど…大きな妖精のために作られたオートクチュールのティアラってことね。確かに、ドレスの色に宝石の色がよく合ってる」
「のんきにファッションチェックをしている場合ですか!?」
「あの金色の妖精には見覚えがある」
「え?」
「黄金に輝く体と、どの妖精よりも大きく美しい羽根、そして周りの妖精たちの恭しい態度....間違いない。彼女は小さな妖精たちが集まる〖妖精の郷〗の女王だ」
「ええっ!?妖精の女王!?」
「この時期に彼女が郷の外にいる、ということは恐らく…ナイトレイブンカレッジの植物園が“フェアリーガラ”の会場に選ばれてしまったのだろう」
「な、なんですって!?あのフェアリーガラの!?ああ、な、なんということだ…」
学園長の反応にいまいちピンと来ないカリムは、だがしかし楽しそうな雰囲気をキャッチして興味津々に尋ねた。
「フェアリーガラ?なんだ、それ。なんか楽しそうな響きだな」
「フェアリーガラは、春を呼ぶ妖精たちの祝祭。妖精の郷の妖精たちは、春が近付くと気まぐれに開催地を選び、祝祭を催す。豪華な衣装と、それを披露する華やかなファッションショーで、“春”を祝うそうだ」
「ファッションショーだあ?ふざけやがって。さっさと妖精どもを追い払って、魔法石を取り戻そうぜ」
「いえ、いけません!フェアリーガラはただのファッションショーではない。”春を呼ぶ祝祭”なんです。もしも中止になったり、失敗すれば…妖精たちは怒り、ツイステッドワンダーランドは永遠に冬のままになってしまうでしょう。開催地に選ばれたら受け入れるしかない…だからフェアリーガラは厄介なんです」
レオナの意見も尤もだが、祝祭を邪魔する訳にも行かないし、終わるまで待つのも待てない。
これではジレンマだ。
「怒らせると手がつけられないなんて、とんでもない連中だね」
「妖精は意外に頑固で、些細なことでへそを曲げる者も多い。僕のように温厚な妖精は珍しいからな」
「…ウワァ、(リドルとマレウス)2人のジョークめちゃ強烈っすわぁ」
イデアのツッコミに一同激しく同意である。
「妖精たちを追い払うことはできませんが、大人しくガラの終わりを待つこともできません。話によると、フェアリーガラの後夜祭は 3ヶ月も続くとか…あの魔法石がなければ学園全体の空調がめちゃくちゃなままになってしまう。それでは授業ができません!みんなで取り戻しましょう!」
「「……………」」
「…てなんですか! 全員やる気のなさそうな顔をして!!」
「はいでました〜いつものやつ。面倒を生徒に押し付ける大人のエゴ」
「授業ができないのは非常に困ります。しかしそれは、生徒が解決すべき問題ないのでしょうか?」
「学園のことなら、責任者たる学園“長”の仕事よね。生徒であるアタシには関係ないわ」
「…みんな、なんて冷たいんでしょう!」
流石ヴィラン学園。
協調性ゼロでブレない彼らの意見に学園長は
「……なんてね!そう言うと思っていましたよ。わかりました。では残念ですが、フェアリーガラが終了して空調が直るまでは休校です!」
「おっ、休み!?やったー!」
「ですが、3ヶ月も授業ができないのでは進級させることはできません。みなさんも含めて生徒全員、留年です!!!」
「「えええ〜〜!!」」
「冗談じゃない!!!このボクが留年だって!?」
「アタシも困るわ留年なんて、イメージダウンも甚だしい!」
「ですよね?私はお休みでもいいですけど、みなさんは困りますよね??そんなの、とても見過ごすことができません。私、優しいので!」
「…納得はいかないけれど、やるしかないようだね」
「むちゃくちゃですが、進級を盾に取られては仕方がありません」
全員が納得した訳ではないが、進級を条件にされてはぐうの音も出ない…
コレは所謂、脅し
2020/06/11